このページの本文へ

NVIDIAの新社屋を訪問、NVIDIAらしいポリゴンを組み合わせたデザインが特徴

2017年05月11日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

NVIDIA新社屋の完成予想図。2013年の予想図では、写真右上に見える四角い建物(もともとのNVIDIAキャンパス)のあるところに同じ形のビルが逆向きに作られる予定だった

 NVIDIAは今冬の完成を目指して、新社屋を建設中だ。新社屋は、現在の本社とは道路を挟んだ土地(もともとNVIDIAのビルディングがあった)に作られ、GPUの会社らしく「ポリゴン」(三角形)をベースにしたデザインになっている。

建設中なので、入るときには、NVIDIAロゴのついたヘルメットと安全ベスト、グラスをつける必要があった

道路をはさんで向かい側には、現在のメインキャンパスがある

周囲は、熱線反射ガラスで覆われており、周囲の風景が映り込む

建物内部へ入る。入口は、長短2種類の辺を持つ六角形の長い辺の中央にあり、全部で3カ所ある。ここは、正面玄関ではなく通用口のようなところ

建物内部に入ると、正面にさらに屋根を持った構造物がある

 上から見ると、処理中の3Dグラフィックスのようにポリゴンが凹凸をつくりながらつながっており、大きな三角形の角を切り落としたような六角形になっている。中央と周囲3ヵ所が少し盛り上がった構造になっている。

 側面は、ガラスになっていて、天井にある三角形の窓と合わせ、室内に自然光を入れるようになっている。天窓と合わせ、多くの照明を自然光に頼るかたちで、そのために日照時間などを考慮したシミュレーションを行なったという。屋根の下は1つの大きな空間で、その中にさらに小さな建造物があるという複雑な構造になっている。内部は中央部分にやはりポリゴンパネルを組みあわせた屋根を持つ建物があり、その周囲を2階となる部分が取り囲む。

2階部分は、このように一階の床から伸びるように作られていて、周囲のガラス壁の部分とは接続していない

2階部分は柵のあるバルコニーのように見える。上に見えているのが、建物の天井部分

中央の構造物は実際には3階建てで、2階から上をポリゴン型のパンチングメタルで覆ってある

 1階と2階は建物全体をフロアと一階の天井として仕切って作られているのではなく、建物内に2階が屋上として使える平屋のような構造物として作られている。2階の天井は建物全体の天井となるためにかなり高い。

 なお、建物全体としては地下2階まであり、地下の2階は駐車スペースとして使われている。実際には、掘り出した土を周囲に盛っていて、地下1階が本来の地面の高さにあり、本来の1階部分は、地上から見ると実は2階部分にあたる。

地下2階を作るために掘り出した土を周囲に盛っているため、地下1階は、実際には地上レベルにある。入口はその上になるため、坂を上がって向かう

 建物に入ると中央にやはりポリゴンを組みあわせた屋根を持つ構造物があり、ここは3階建てとなっている。その周囲を建物フロアから伸びた2階建ての構造物が囲む構造が見える。なお、この2階建て部分は建物の側面とは接続していない。建物側面は、全面ガラスであり、ここで2階部分を支えるような構造にはなっていないためだ。

正面入口側から見た中央の構造物

中央構造物の裏手側には、カフェテリアがあり、中央構造物側はセレモニーなどに利用できるように階段状の「ひな壇」が作られている

カフェテリア中央部分

 中央の構造物は、正面玄関側がレセプションスペースで、その反対側には、カフェテリアとつながる部分があり、ここに階段状の構造を持つ場所がある。この階段状の場所は、セレモニーなどに利用できる、いわば「ひな壇」的な使い方をするためのものだという。

2階部分に上がったところ。2階は全部フラットなスペースなので、建物の側面が見通せる。写真横に通っているのが照明で、天井を照らす間接照明となっている

 周囲の2階部分は、オフィススペースとして使われる。基本的には、天井の三角の天窓と側面のガラスから外部光を取り入れていて、2階フロアが側面とは接続していないため、昼間であれば内部はかなり明るい。しかし、オフィスとしては照明を付ける必要がある。照明は、コの字型の金属(チャンネル)を水平に伸ばし、その中に上向きに天井を照らす照明があり、間接光として実現している。

天井には、やはりポリゴン型の天窓があり、自然光を取り込む

天井を支える側面部分の柱と天井の構造。上が建物の天井部分となり、写真中央奥の柱の右と左で梁の角度が違い、天井がフラットでないことがわかる

建物の中央部分は地下1階からの吹き抜けになっている。これは2階部分から写真を撮ったところ

中央の吹き抜けを上がのぞき込む。ここも三角形になっている

 原則として、オフィスを四角い部屋として仕切ることはないが、全体がつながっているため、話し声や機械の動作音などが建物全体に通ってしまう。一階部分には区切られた「会議室」はあるが、電話やちょっとした打ち合わせ、あるいは静寂が必要とされる場合に備え、2階部分には防音壁を使った箱形の「フォーンブース」が用意されている。

電話するときに周囲の音を遮断できるフォーンブース。奥に見えるグレーの部分が壁面内部の防音材

 中央の構造物は、実際には3階(さらに屋上もある)になっているが、消防法の問題があるため、「メザニン」という扱いなのだそうだ。周囲に見える屋根のような部分は、やはり金属に穴を空けたパンチングメタルのようなポリゴンを組みあわせて作られている。この部分は、金属のフレームを構造物とジョイントで接続する構造になっていて、「メザニン」と2階部分を覆うように周囲に巡らせてある。

中央の構造物の3階部分に相当するメザニン。三角形のパンチングメタルは少し離れてみると向こう側が完全に透けて見え、自然光を多く取り込むことが可能

同じくメザニンからの撮影。メザニンの側面のみが透けており、天井と床側には穴の開いていない三角の金属パネルが使われている

中央構造物の「屋根」は、床面とは独立していて、写真中央に見えるようなジョイントで固定されている

 2013年に発表された計画時には、同じ構造の建物を2つ作る予定だったが、現在では1つにして、元のビルを残すことになったようだ。なお、この建物には2500名ほどが勤務できるが、本社勤務の全社員を収容することはできず、現在利用中の社屋も引き続き利用されることになるという。

建物を外側から望む。ガラスの下部分が建物内の一階の床に相当し、下が地下一階になっている。側面ガラスに映り込んでいる重機の大きさなどから建物の相対的な大きさがわかる

 同じように新キャンパスを建設中のアップルもやはり本社勤務の全社員を収容することは困難だという。自社ビルの建設はたいていは景気のいいときに行なわれるものだが、その時期は同時に社員が増える傾向があって、収容が間に合わないということになりがちなのであろう。もっとも日本の某社のように本社ビルを建てたものの景気が悪くなって売却というケースもあるのだが。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン