AWS、Azure、GCPとダイレクト接続「TELEHOUSE Cloud Link」、まずはNYとロンドンから
KDDIのグローバルDCサービス、主要クラウドと直接接続可能に
2017年04月24日 07時00分更新
KDDIは4月21日、法人向けグローバルICT事業の取り組みについて、報道関係者への説明を行うとともに、同社がグローバルで展開するデータセンター「TELEHOUSE(テレハウス)」における新たなサービスとして、主要クラウドサービスとのダイレクト接続サービス「TELEHOUSE Cloud Link」の提供を開始すると発表した。
TELEHOUSEは、全世界13地域、24都市に48拠点を展開。ラックコロケーション、構内接続、リモートハンド、システム運用および保守のビジネスを推進している。全世界のデータセンターの総床面積は、44万8000平方メートルとなり、東京ドーム約10個分に達する。
今年4月からグローバル事業本部長を務める曽雌博之氏は、TELEHOUSEでは長年にわたって「キャリアニュートラルデータセンター」として展開してきており、キャリアやISP、ユーザー企業といった多様な顧客が集まる環境を実現していることが、他社との差別化になっていると語る。「ISPや固定系キャリア、モバイル、クラウド、OTTの接続ハブとして、さらに価値のあるデーセンターに進化することで、インターネット/クラウドの時代に新たな価値を提供できる」。
また、300以上の厳しい独自共通基準を持っており、それによってセキュアな環境を実現していること、またグローバル750のキャリアとの直接接続を可能にしていることで、約3000社の顧客を持つ。「海外では、高品質なデータセンターとして認知されており、TELEHOUSEのブランドが浸透している。世界では5位の売上高を誇り、サイト別事業者接続数では世界1位だ」と、曽雌氏は胸を張る。
たとえば英国ロンドンのDoklandsでは、ひとつのデータセンターで644の事業者と接続しており、2位以下を大きく引き離した接続数を実現している。さらに今年春には、ロンドンで5つめのデータセンターとして、約240億円をかけてDockLands North Twoを開設した。TELEHOUSE PARISでは、日系企業としては初めて、AWSとのダイレクトコネクトロケーションを実現。TELEHOUSE HONGKONG CCCでは、アジア最大級のIX事業者であるHKIXと直接接続を実現している。
また、2012年に発生した大型ハリケーン「サンディ」が米ニューヨークを直撃した際に、唯一稼働していたデータセンターがTELEHOUSEだったという。データセンターが水没しない設計となっていたことと、燃料の備蓄や調達の優先契約によって、4日間の停電期間中も継続的な稼働ができたという。
日本でも、東日本大震災が発生した際には、すべてのデータセンターで連続安定稼働を実現したという。国内には北海道から沖縄まで全国9都市21拠点でデータセンターを展開しており、2016年に開業したTELEHOUSE東京多摩3のデータセンターでは、最先端技術を導入し、国内最大級となる大容量を誇る42KVA/ラックの電力設備を用意。高い耐震災害性能を誇る建物とし、PUE1.31を誇る省エネ設備を導入しているという。
加えて、日本のISPや通信キャリア、コンテンツ事業者が集積するインターネットハブともいわれる東京・大手町にデータセンターを設置。低遅延を実現する接続性と高信頼性を実現している。
KDDIは、1989年に米ニューヨークにデータセンターを開始して以来、約30年の歴史を持つ。データセンター専用ビルを最初に建てたのも、キャリアニュートラルなデータセンターを最初に構築したのもKDDIだと、曽雌氏は説明した。
「1990年半ばからインターネットが普及しはじめ、ISPが数多く誕生したが、これらのサービスを実現するためには、ISPとキャリアは競合関係にあり、キャリアのデータセンターを活用するとコストの足かせになるという課題があった。キャリアニュートルデータセンターであったTELEHOUSEには、そうした課題がなく、顧客が集まってきたことが、データセンター事業の拡大につながった」
そして現在、ビジネスに大量のデータ集積が必要とされる時代になり、データセンターの役割はますます重要なものになっており、それに加えて多様なキャリアが集中しており、構内接続ができるTELEHOUSEに注目が集まっているという。
「グローバルデータセンターの市場規模は、2020年まで年平均成長率が10%超と想定されており、2015年の2倍になる。また、世界のデーセンターのIPトラフィックの増加率は、2020年まで年平均成長率は27%超となり、2020年までに4倍に拡大する。データが集まれば集まるほど、データセンターの価値が高まり、エコシステムが広がることになる」
「マルチクラウド」ニーズ増加に合わせAWS、Azure、GCPとの接続を可能に
今回、KDDIでは、メジャーなクラウドサービスとのダイレクトクラウド接続サービス「TELEHOUSE Cloud Link」の提供開始を発表した。
同サービスは、TELEHOUSE内に設置された顧客のシステムと、Amazon Web Service(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の各サービスを専用線で接続することができる。これにより、セキュアかつ低遅延の環境を実現し、世界規模の顧客事業をサポートする。
専用のオンラインポータルから、リアルタイムにクラウドサービスとの接続環境を、構築およびモニターすることができ、ビジネスニーズにあわせて柔軟に接続帯域を選択することができるのが特徴だ。
「『マルチクラウド環境で接続したい』という要望が想定以上に多い。クラウドとの直接接続サービスによって、TELEHOUSEのコネクティビティがさらに拡充する。TELEHOUSE Cloud Linkでは、専用ポータルを通じて、顧客が要望する帯域を任意に選択して接続が可能になる。冗長性を持ち、セキュアなブライベート接続を可能にしている点も特徴。現在、地域によって接続できるクラウドサービスは異なるが、世の中にあるすべてのクラウドサービスに対応したい」
2017年4月から、米国のTELEHOUSE NewYorkと、英国のTELEHOUSE London Dacklandsでサービスを開始し、今後、欧州やアジアの主要都市に順次展開することになるという。