国立情報学研究所・越前 功教授の研究チームは、3月20日からドイツで開催されるCeBIT 2017でデジカメによる盗撮からの指紋復元を防止する手法「バイオメトリックジャマー」の利便性をさらに向上させた改良手法を公開する。
デジタルカメラの高画素化により、これまで接触式センサーのみが読み取れた指紋情報をデジカメ画像から復元できる危険性が指摘されている。2014年にはドイツ国防相の指を市販のデジカメで離れた場所から撮影し、指紋の復元に成功したというドイツのハッカー集団「カオス・コンピュータ・クラブ」の発表もあった。
今回CeBIT 2017に出展されるのは、指紋の特徴点の検出を妨害する疑似指紋によるジャミングパターン(模様)をステンシルシートで指先に転写する方法。これまでの手法では幾何学的なパターンだったが、疑似指紋に改良された今回の手法では視覚的な違和感を軽減。転写時にベース素材の塗布を不要とすることで手軽に装着できるようになった。
国立情報学研究所はCeBIT 2017のジャパン・パビリオン内に「NII-BioSec:サイバー/フィジカル境界における生体情報保護」をテーマに研究成果を出展。バイオメトリックジャマーのほか、越前教授らが福井県鯖江市の眼鏡製造技術を活用して実用化、画像中の顔検出を妨害するアイウェア「プライバシーバイザー」も展示される。