既存オンプレミス環境も生かせる「Citrix Cloud」。2017年度の国内事業戦略も発表
シトリックス、XenDesktopなどのクラウドサービス国内提供開始
2017年02月23日 07時00分更新
シトリックス・システムズ・ジャパンは2月22日、「XenDesktop」や「XenApp」といった同社製品をクラウドサービスとして提供する「Citrix Cloud」の国内提供開始を発表した。同日の2017年度事業戦略説明会では、同サービスの詳細やその他の事業戦略、さらに2月に就任したカントリーマネージャーの青葉雅和氏が紹介された。
既存のオンプレミス/ハイブリッド環境にも対応するCitrix Cloud
今回国内提供を開始したCitrix Cloudは、XenDesktop、XenApp、XenMobile、ShareFileといった同社のワークスペース製品群をクラウドサービスとして提供するための共通プラットフォームである。
特徴は、「管理プレーン」と「展開ロケーション(ユーザーの実利用環境)」を分離したアーキテクチャになっており、顧客ニーズに応じて柔軟に構成できる点だ。
具体的には、ライセンスサーバーやコネクションブローカー、管理ツール群などを備える管理プレーンは「Microsoft Azure」クラウド上に構築されているが、ユーザーが利用する環境はAzure(やパブリッククラウド)に限らず、プライベートクラウド、オンプレミス環境でもよい。さらには、それらが混在するハイブリッド/マルチクラウド環境にも対応する。
こうしたアーキテクチャで構成されているため、ユーザーのデータはユーザー環境から出ることはなく、クラウド利用には法令上の問題があるケースでも導入できる。また、すでにオンプレミスで導入済みの顧客が、クラウド移行を段階的に進めていくために利用することもできる。なお、既存オンプレミスライセンスをクラウドサービスに転換し、Citrix Cloudへの移行を促すプロモーションも実施する。
「顧客は、そのワークロードに応じてデータセンターに残すか、クラウドに移すかの判断がしたいと考えている。あらゆるニーズに対応するのがシトリックスのポートフォリオだ」(コレヴァ氏)
なお、Citrix Cloudでは、ライフサイクルを包括的に管理するツール群として「Smart Tools」が提供される。これにより最短数時間で利用開始できるほか、最新プラットフォームへの移行、システム環境のチェック/分析、スケールなどの作業を大幅に効率化する。
また、ユーザー利用環境にもAzure IaaSを採用した「XenDesktop Essentials service for Azure」および「XenApp Essentials service for Azure」もリリースされる予定だ。これはマイクロソフトとのパートナーシップに基づき展開するパッケージで、「Azure Marketplace」経由で販売される。上述したCitrix Cloudのサービスよりも、戦略的に低いサブスクリプション価格が付けられているという。
なお、XenDesktop Essentialsは、パブリッククラウド上でWindows 10 CBB(Current Branch for Business)の仮想デスクトップが使える業界初のサービスとなる。
Citrix Cloudの各サービスは、販売パートナーから年間サブスクリプション方式で販売される。詳細な価格は未発表。
なお、今回国内提供を開始したのは、XenDesktopやXenApp、さらにブラウザ仮想化専用のXenApp Secure Browserの各クラウドサービス。今後も順次サービスラインアップを拡大し、最終的には提供中のすべての製品をクラウドサービスとしても提供していく方針だ。
「シトリックスの戦略はとてもクリアだ。これから、われわれのすべてのソリューション、サービスをクラウドからも提供していく」(サルトリアス氏)
シトリックスでは、クラウドサービス群全体を「Workspace-as-a-Service(WaaS)」と位置づけており、このWaaS領域におけるリーダーシップを確立していくと、サルトリアス氏は説明した。
国内市場における2017年のビジネス戦略は
日本国内における2017年のビジネス戦略として、コレヴァ氏は「セキュアなワークスペース」「ネットワーク」「クラウド」の3つを、セールスプライオリティの高い領域だと位置づけた。
ワークスペース領域における注力セールス分野は、「働き方改革」に対応するテレワーク/モバイルワーク環境、高セキュリティを実現する「インターネット分離」ソリューション、SMB顧客でも導入が可能なハイパーコンバージドインフラ(HCI)ベースのソリューションなどだ。
またネットワーク関連では、拠点間WANやハイブリッド/マルチクラウド環境、アプリケーション配信環境などのパフォーマンス最適化やコスト効率化を図る、SD-WANや「NetScaler Management & Analytics System(MAS)」といったソリューションの提案に注力していく。
クラウドについては、今回発表されたCitrix Cloudの国内提供開始が中心となる。特に、マイクロソフトとのアライアンスによる取り組みを通じて、顧客の“クラウドファースト”の動きを加速させていくとした。
新しいカントリーマネージャーとして挨拶に立った青葉雅和氏は、これまでのシトリックスはポイントプロダクトの印象が強かったが、現在ではトータルソリューションとしての提案が求められていると語り、産業別の営業組織を立ち上げ、パートナーと協調してビジネスを進めていくと語った。