故障箇所の洗い出しと
新油没冷却マシンの最構築
引き上げたパーツは、まずパーツクリーナーで油を落とし、次に無水エタノールで洗浄。それから陰干しした。検証用のマザーとして新たに用意したのはASRock「A88M-ITX/ac」。ASRockの代理店マスタードシードに油に沈めると伝えたものの、「ウフフOK」と機材を貸し出していただいた。理解のあるフレンズで、大変助かります。
まず「A10-6800K」とDDR3メモリーをASRock「A88M-ITX/ac」にセットし起動テスト。動作するものの、UEFIの描写は乱れており、メモリーにダメージが入っていると確認された。
このメモリーは、油没させる以前から挙動の怪しさがあったので、油没によるダメージがすべてではない可能性があるも、メモリーを編集部員ショータの私物に変更してみたところ、描写に不具合はなく、問題なくUEFI画面1時間放置をクリア。CPUにダメージはないと判断できた。
では、12ヵ月間も油に沈んでいたマザー「GA-F2A88XN-WIFI」はどうなのだろうか。まずもって、油をたっぷり吸っており、洗浄したのにも関わらず、にじみ出る油が印象的だ。
洗ったにもかかわらず、ソケットの一部に汚れを発見した。油に溶けたグリスのカスのようだが、マザーボードのあちこちからなにかと溶け出してくるので、判別は難しい。
ただなにやら焦げたような跡があったので、「A10-6800K」をよく調べてみたところ、側面に焦げたような痕跡があった。第2期起動テスト時に、ほどよくソケットとCPUの間にゴミが入り込み、ほどよく焼けたと思われる。
そこで、ソケット周りをもう1度清掃したところ、「GA-F2A88XN-WIFI」での起動を確認。しかし、5分ほどでシャットダウンしてしまい、それ以降、UEFI画面が表示されず「電源スイッチをオンにすると、CPUクーラーのファンが一瞬だけ回る」という、自作ファンにとってはおなじみの状態になってしまった。
原因としては、コンデンサ周りにダメージが入っている可能性と、ソケット周りにまだ汚れが溜まってしまっている可能性などが推測できるが、そもそも基板自体が油を吸うため、それでわずかに膨らんでしまい、プリントに影響を及ぼしているとも考えられる。
現時点では、最後の力を振り絞って起動してくれたことにした。湯煎で油を除去すると起動するかもしれないので、また後日チェックしてみたい。
24ヵ月の場合はどうなのか気になってしまう。結果報告はかなり先になるが、次回組み上げるバージョンを利用して、長期テストをしてみたい。ちなみに、スティックPCについては、1年以上動作しており、基板上のパーツの少なさが功を奏しているようだ。
次回はデスクトップCPUにリベンジ
当初は、「GA-F2A88XN-WIFI」が機能していると予想していたので、そのまま、ウェブブラウズや動画鑑賞など、水槽を変更して、常用レベルで使用できる油量を調べようと考えていたのだが、上記のようにマザーボードを剥き出しで沈めた場合、6ヵ月以上12ヵ月以内に故障すると判明した。
そのため、最低でも1年は安定して使用できるようにしたい。理想としては2年。低コストと入手性を考えるとコーティング剤がまず浮かぶ。第1回で登場しているパリレン樹脂コーティングはマザーボード1枚あたり10万円ほどらしく、お手軽にトライできない価格だ。
そこで用意したのがゴムコーティング剤の「プラスティ・ディップ」だ。プロオーバークロッカーが液体窒素冷却する際に、結露によるショートからマザーボードを守るために塗布する製品である。これによって耐久値をアップしてみようという作戦だ。
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