JAEPO2017レポート 第3回
VRゲーム筐体はより体感度を高める方向に進化
JAEPO注目のVR2筐体「VRセンス」と「UNIS VR Omni Arena」を試遊!
2017年02月13日 22時00分更新
2017年2月10日~2日12日、千葉・幕張メッセにて「ジャパンアミューズメントエキスポ2017」(JAEPO2017)が「ニコニコ闘会議」と合同開催された。
JAEPOは最新のアーケードゲームの体験やプライズ製品の展示、ゲーム機で使われるメカトロニクス部品など、アミューズメント施設向けゲームのすべてを楽しめるイベントになる。そのJAEPO2017で注目を集めていたのが、アーケード向けVR筐体を展示していた2社のブースだ。今回は2製品ともプレイ動画も合わせて撮影できたので、「どんな動きでVRゲームを楽しめる筐体なのか」という参考にしていただきたい。
ミニチュア版4DXシアターを彷彿させる
風や霧、香りも出せる体感型VR筐体
コーエーテクモウェーブブースでは、先日発表されたばかりの「VRセンス」の試作機が展示されており、実際に体験することができた。VRセンスの細かい仕様に関しては先日の発表会やこちらのレポートで説明しているが、簡単にまとめると多機能3Dシート、香り機能、タッチ機能、風機能、温冷機能、ミスト機能などを備えたアーケード向けVR筐体」となる。
怖くても進まなければ襲われる
恐怖の“だるまさんがころんだ”
試遊で用意されていたゲームは恐怖体験ゲームの「ホラーSENSE ~だるまさんがころんだ~」と、競馬騎手体験ゲームの「ジーワンジョッキーSENSE」の2本だ。
「ホラーSENSE ~だるまさんがころんだ~」は、不気味な廃屋の廊下で謎の少女と”だるまさんが転んだ”をするゲームで。彼女とのだるまさんが転んだでうっかり動いてしまうと”見えないに何か”に襲われてしまうのだ。
操作は簡単で、PS Moveのトリガーを引くと前進、離せせば止まるだけ。しかし、少女の「だーるまさんが、こーろんだ」という掛け声のリズムは一定ではないため、よく聞いて慎重に歩みを進めていく必要があるが、慎重になりすぎてゆっくり歩きすぎても少女から「はやく来ないと…」とつぶやき、身の危険を感じるプレッシャーをかけてくる。
また、廃屋の廊下は一本道ではあるが、朽ち果てた家具が散乱していたり、何かが潜んできそうな部屋の扉やあったりする、どう見ても「この先に進めば確実に危険が待ち受けてる」空気感が漂っている。
ただまっすぐ歩くだけでいいはずのシンプルゲームではあるが、目につく様々な不気味なモノをを見てしまうことで「これは安易に歩き進んではいけない」と恐怖感が高まるし、実際に進むほどに様々なトラップが待ち受けている。しかし、進まないでジッとしていても化け物に襲われて殺されてしまうので、嫌でも進まなければいけない。そのジレンマが面白い作品だ。
VRセンスのプレイ感を伝えるために同行してもらったモデルさんによる「ホラーSENSE」プレイ動画。参考までにモデルさんはホラーがすごく苦手で、人一倍怖がりなタイプです。
※イベント会場内なので周囲の音が大きく入り込み、お聞き苦しい点はご了承ください
気分は武豊騎手?
ディープインパクトでターフを駆け抜ける
「ジーワンジョッキーSENSE」は競馬の騎手となり、なんとあの名サラブレッドであるディープインパクトに乗り1レース走れるというものだ。PS Moveを振るほどにムチが入りディープインパクトは速く走ってくれる。走りに合わせて大きく揺れるシートと激しく振るうムチ操作が相まって、ゲーム自体は短時間であるもの「やりきった感」を強く体感できた。
また、競走中は前に走る馬が蹴り上げる芝生の塊が飛んできたり、馬の大きさや高さがわかる乗馬位置の視点の気持ちよさ、後ろや横を見ると差してくるほかの馬の様子が見れたりなど体験型VRの要素も強く「競馬の騎手ってこんな気分なんだね」と感じられる。
強いて言えば、試遊プレイではレースに勝ってみたものの、駆っている競走馬がディープインパクトということもあり、自分のムチ操作が上手くてレースに勝ったのか、それとも馬の実力が高すぎて「馬なりで走らせても勝てるんじゃ?」などと、素直に喜んでいいのか悩んでしまう部分があった。
「ジーワンジョッキーSENSE」のプレイ中の様子。シートの動きとムチ捌き操作が激しく、ホラーとの「静と動」のギャップが面白い。
風と動くシートだけでも臨場感アップ!
試遊できた2作品とも効果的だと感じたのは「風が与える触感」だ。風機能の風力は内容によって変化させており、「ホラーSENSE」のほうでは涼やかな風がスーッと出てくるもので、それが「この先に何かいるかも」とか「お化けが目の前を横切った」という恐怖体験にうまく繋がっていた。「ジーワンジョッキー SENSE」は髪が軽くなびくほどの風力があり、まさに「風を切って走ってる!」という爽快感をストレートに味わえた。
今回の試作機ではまだ「3Dシート機能」と「風機能」しか実装されておらず、残りの「香り機能」、「タッチ機能」、「温冷機能」、「ミスト機能」はまだ未実装だ。動くシートと風だけでもゲームの臨場感アップに効果があるというのは、今回の試遊でも強く感じた。未実装の機能が追加されれば、「いまお化けが体に触って冷たかった!」や「芝生のニオイを感じながら走るの気持ちいい!」といったさらなる臨場感、体感度のアップにつながるのではないかと感じられた。
VR空間内を実際に走れる
「UNIS VR Omni Arena」を体験!
中山市世宇動漫科技有限公司ブースにて展示されていたアーケードゲーム筐体「UNIS VR Omni Arena」もまた独創的だった。
「UNIS VR Omni Arena」はVRゴーグルに「HTC Vive」を、操作部にVR歩行デバイス「Virtuix Omni」と専用のライフル型コントローラーを組み込んだ筐体構成を持つガンシューティング向けアーケード筐体だ。
操作の核となる「Virtuix Omni」は、プレイヤーの腰回りを固定するフレームを兼ねたセンサー部と、すり鉢状になったフロア部から足の動きを読み取る操作デバイスで、前進は滑る専用シューズで滑らせるように走り、左右への方向転換は腰の回転をすることで、本当に走ってるような感覚でゲームを操作できるものだ。これにVRゴーグルの「HTC Vive」を加えることで“VR空間を自由に走り回る”ゲームが楽しめるという。
「UNIS VR Omni Arena」を使って試遊できたのは、VR空間内にある的をライフルで打ち抜くFPSゲームだった。実際に遊んでみると、思った以上に歩幅を大きくしないと動きにくい(動作がついてこない)歩幅感覚の違いや、横に移動するには腰の回転が必要など、リアルとの相違点による違和感が若干あった。「VR世界を自由に走り抜けてる!」というほど没入感まではまだないが、若干感じる違和感はソフト側のチューニングで調整できそうかな? という印象を受けた。
動画のモデルは脚部のハーネスをつけていないが、これはスカートを履いてるための配慮だ。プレイ後に話を聞くと「脚のハーネスをつけてないため固定が緩くて、回転移動がちょっと操作しにくい」という感想を漏らしていた。