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CEO来日に伴う記者説明会開催、新機能を多数追加したAOS 5.0も一般提供開始

「Nutanixは100%ソフトウェア企業」日本法人町田社長が語る

2017年01月27日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ニュータニックス・ジャパンは1月25日、米本社(Nutanix)CEOのディラージ・パンディ氏来日に伴う記者説明会を開催した。昨年11月より日本法人社長を務める町田栄作氏も出席したほか、同日にはOS最新版「Nutanix Acropolis Base Software(AOS) 5.0」も正式リリースしている。

米Nutanix 創立者で代表取締役会長兼CEOのディラージ・パンディ(Dheeraj Pandey)氏

昨年11月からニュータニックス・ジャパン コーポレート マネージング ディレクター兼社長を務める町田栄作氏

OS最新版リリース、45種類以上の新機能を追加

 同日正式リリースされたAOS 5.0では、仮想化データプレーンのAcropolis、管理プレーンのPrism、ニュータニックスハイパーバイザ(AHV:Acroporis Hypervisor)の各レイヤーにおいて、45種類以上の新機能追加と数百種類の機能強化が行われた。すでにNutanixユーザー向けのダウンロード提供は開始されている。

過去および最新版AOSアップデートにおける主な機能追加項目

 AOS 5.0のAcropolisでは、組み込み型ファイルストレージのAFS(Acropolis File Services)が追加されたほか、ブロックストレージのABS(Acropolis Block Services)においてダイナミックな負荷分散機能の強化、オンライン・リサイズ機能の追加などが行われた。ABSの認定ワークロードとしてOracleも追加されている。

 また、DR向けの同期レプリケーション/自動フェイルオーバー機能であるMetro Availability Witnessの追加、圧縮アルゴリズムの改善によるデータ圧縮の効率化(最大44:1)なども実現している。

 管理プレーンのPrismでは新たに、仮想マシンとホストやNIC、ToRスイッチ、VLANなどとの接続状況を可視化するネットワーク可視化機能、エンドユーザー向けのセルフサービスポータル機能、ESXi対応の仮想マシン管理機能、ジャスト・イン・タイム容量予測機能(Prism Proで利用可能)といった機能が追加/強化されている。

 Nutanix独自のハイパーバイザであるAHVでは、特定のホスト(またはホストグループ)に仮想マシンを固定したり、特定の仮想マシンどうしが同一ホストに格納されないよう設定したりできるアフィニティ・ルール、CPU/メモリだけでなくストレージリソースやボトルネックまで考慮した仮想マシンの自動配置決定を行うAcropolis Dynamic Scheduling(ADS)などの新機能がある。

「ハイパーコンバージドインフラ製品そのものは目的ではない」パンディCEO

 記者説明会でパンディ氏は、Nutanixが最終的な目標としているものは、現在提供している「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」ではなく、その先に実現するエンタープライズクラウドの「プラットフォーム」構築であると説明した。これは、iPhone(スマートフォン)が経てきた道程と似ているという。

パンディ氏は、アップルのiPhoneになぞらえてNutanixが目指す「エンタープライズクラウドプラットフォーム」への道程を説明した

 かつての携帯電話や携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラといった「コンポーネント」を統合したのがiPhoneという「プロダクト」であり、登場後、ユーザーからは熱狂的に受け入れられた。これは、サーバーやストレージを統合したNutanixのアプライアンスに相当する。

 ただし、アップルの狙いはiPhoneというプロダクトそのものではなく、iPhoneを中核として、ユーザーのクラウド利用やネット経由のコンテンツ購買、IoTデバイスなどの外部周辺機器のハブとなる「プラットフォーム」を構成することだった。

 パンディ氏は、Nutanixもそれと同様に、HCIというプロダクトにとどまることなく、「もっと拡張し、よりセキュアで、PaaSなど他のレイヤーとも連携する(エンタープライズクラウド)プラットフォーム」を目指していると語った。

 「Nutanixはこれから、真の意味での『プラットフォーム』を構築しなければならない。(コンピュートやストレージだけでなく)ネットワーク、セキュリティ、ITマネジメントといったことがワンクリックでできたり、自動化されたりする環境だ。そのために、Nutanixはまったく新しい企業として進まなければならない」(パンディ氏)

「Nutanixは100%ソフトウェアの会社」あらためてオープンさを強調

 説明会では、昨年11月から日本法人社長を務める町田栄作氏も登壇した。2年半前、町田氏は前職のデルでOEMのNutanixアプライアンス(Dell XC シリーズ)を手がけた経験を持ち、HCIのリーディングカンパニーであること、Webスケールの拡張性を持つこと、オープンなアーキテクチャであること、といったメリットを実感してきたという。

 2009年創業のNutanixは、グローバルで4400社を超える顧客を持ち、日本国内でも顧客数は300社を超えている。町田氏は、このうちトップ15社との取引を見ると、過去18カ月間で「平均3.6台」のリピート購入があり、スモールスタートののちに必要に応じてノード追加していくという、Nutanixの考えてきたビジネスモデルが実現していると語った。

Nutanixの国内ユーザー企業は300社を超えた

 2017年の国内市場戦略について町田氏は、Nutanixはベンダーニュートラルでオープンな存在であることを、あらためて強調していきたいと説明した。物理アプライアンスのイメージが強く、ともすればNutanix自身がハードウェアベンダーであり、クローズドな環境を構築するプロダクトだと誤解されやすいからだという。

 「2017年の戦略は、コンピュートの(サーバーの)ベンダー、アプリケーションベンダーと、ベンダーニュートラルな関係でお話をしていく」「われわれNutanixは『100%ソフトウェアの会社』なんだと、そういうことを日本のマーケットの中で位置づけていきたい」(町田氏)

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