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無料でも聴ける! サービス開始から1年

総額約400万のシステムで、DSDライブ配信「PrimeSeat」のリアリティを体験した

2017年01月19日 13時21分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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 インターネットイニシアチブ(IIJ)が2015年12月から提供しているハイレゾ対応のストリーミングサービス“PrimeSeat”をご存じだろうか? 配信サービスとしては珍しい、DSD形式(最大5.6MH)の配信を実施しているサービスだ(関連記事)。

 注力しているのはクラシックやジャズのコンサートをライブで届けるということ。無料放送を基本としながら、有料サービスに申し込むことで、聴取が可能になるライブ配信コンテンツやオンデマンド配信コンテンツも楽しめる。サービス開始後、1周年を記念した説明会が1月18日に実施されたので現状を紹介しよう。

 まずは再生に必要な環境から。PrimeSeatの再生には、パソコン用のソフトのインストールが必要だ。Windows版とMacintosh版の両方が用意されている。これだけでも再生できるが、さらにUSB DACを接続することでより高音質な再生が可能になる。会場ではKORGの「DS-DAC-10R」とMacBookを組みあわせたヘッドフォン再生も提案されていた。回線や再生機器のスペックに合わせて品質を調節することも可能だ。

 データは暗号化されている。またローカルにデータが残らないストリーミング型のサービスとなる。再生時にHDDやSSDの残容量を気にせずに済む。ハイレゾファイルの保存にはそれなりの容量が必要にになるので、オンデマンド型のサービスと組み合わせる利点もありそうだ。

 現在提供している主な有料コンテンツとしては、オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏を5.6MHzでライブ/オンデマンド配信する「RCO Live PrimeSeat Special」(1620円)、浜離宮朝日ホールで収録した演奏を5.6MHzでオンデマンド配信する「浜離宮PrimeConcert」(DSD5.6MHzは500円/公演、PCM96kHz/24bitは100円/公演)がある。

 放送形式の無料コンテンツとしては、毎週土曜日に48kHz/24bitのPCMでストリーミング配信する「ベルリン・フィル・アワー」、南青山のジャズクラブBODY&SOULのライブをDSD収録し、毎週日曜日にDSD5.6MHzでストリーミング配信する「BODY&SOUL - A Wonderful Jazzy Night」などがある。

 また発表会場となった神楽坂のTheGLeeで1月19日(木)19:00~開催する「JCAA meets TheGlee Musiculture Vol.2 -響きを編む音を紡ぐ」もDSD5.6MHzでライブ配信する。

 実際の音も確かめられた。イギリスChord Electronicsの高級D/Aコンバーター「DAVE」にステレオパワーアンプのフラッグシップ機「SPM1200 MkII」を直結し、TADの「Micro Evolution One」をドライブするという構成だ。

 合計で400万円程度にはなる高級システム。Chord製品の輸入代理店タイムロードの村上遼氏によると、コンパクトで高音質が体験できる“プレミアムコンパクト”のコンセプトで選んだ組み合わせだそうだ。

 デモではPrimeSeatで配信しているDSD音源と、それをSpotifyなど一般的な音楽聞き放題サービスの最高音質に選ばれている320kbps AACに圧縮したものの違いからスタート。ジャズクラブ「BODY & SOUL」で演奏されたブルー・トレインのライブ音源で比較試聴した。320kbpsのAACでもどんな旋律が演奏され、どんな楽器が使われ、演奏の質はどうかといった、音楽の基本的な部分は十分に伝わる。

 しかしながら、DSD5.6MHzとの違いは歴然としている。少し抽象的に言うと気配の差だ。音が空間の中で反射する中で徐々に消え入っていくような様、演奏している場所の広さ、楽器と客席の位置関係、音の奥行き感や厚みといった要素の説得力が違う。AACはあくまでも音楽だけを聴いている感覚。DSDは音楽のある場所にいるといった感覚が味わえるのだ。その差を改めて実感できたし、ライブ音源との相性の良さも感じた。

 次にオーケストラ演奏としてRCOのブルックナー4番をDSD5.6MHzで聴く。ステレオマイクをほぼワンポイントで使用して、コンセルトヘボウの大ホールで収録した音源とのこと。ここでも会場の気配感がリアルだ。観客のせきやノイズなども包み隠さず収録されているが、そのぶん演奏前の空気がピリリと緊張する感じや、ホールの広さと空気感などが如述に再現される。RCO Live PrimeSeat Specialは、RCOの自主制作盤なども担当するPolyhymnia Internationalが録音を担当。ライブ収録後すぐに放送したのち、曲間などをカット編集してオンデマンド配信する。

 さらに浜離宮朝日ホールで行なわれた「藤原真理 チェロ・リサイタル」(DSD5.6MHz)、サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルによるマーラー交響曲第4番(PCM48kHz/24bit)などを聴いたが、ホールや収録方法の違いなども実感できる表現力があった。ククラシックではホールも含めて楽器という見方ができる。その雰囲気を日本にいながらにして体験できるのは価値がある。

 例えば浜離宮朝日ホールはコンパクトなサイズで、そのぶん演奏者や楽器との距離感が近い。演奏の熱気もストレートに伝わってくる。聴いたフォーレのシシリエンヌはサンプル曲として無料で聴けるとのこと。逆にベルリン・フィルは、60個ものマイクがホールに用意され、演奏に応じて専用コントローラーでミックスダウンする。そのため各楽器やパートの音が明瞭だ。そういった差を実感できる。

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