皆さんには青春時代の思い出というのはあるだろうか?部活やサークル、はたまた甘酸っぱい失恋の思い出・・・過ぎ去った日々は取り戻せない、輝いた日々である事は間違いない。
もう思い出したくもない日々もあったかもしれない、そんな誰しにも「あったかもしれない」日々を今回は紹介したい。
未来は自分で選ぶ、時を戻すアドベンチャーゲーム
第43回では「Life is Strange」を紹介しよう。本作品は『スクウェア・エニックス』の販売としっかりした翻訳と吹き替えもあり、名前だけでも聞いたことがあるという方もいらっしゃるかもしれない。ウインターセールこそ終わってしまったが、心の琴線に確実に触れるであろう本作品は是非とも紹介したい。
本作品は俗に言う「ポイントクリックタイプアドベンチャー」と言われるジャンルの作品である。激しいアクションや反射神経を要求しないため、どんな人でもプレイ可能。また、キーボードでもコントローラーでも好きなほうでプレイできる。マップ上を好きに歩き回り、話を進めていくのが基本となる。
オレゴン州に存在する風光明媚な架空の街『アルカディア・ベイ』、数年ぶりに帰ってきた地元が舞台となり、彼女の18歳の誕生日から幕は開ける。クラスの派閥にはやや馴染めていないが素行が悪いわけでもない、一般的な冴えない女子高生である彼女だが。とある出来事がキッカケで時間を巻き戻せるようになってしまう。
本作品の操作方法はシンプルと書いた通り、操作可能な場面では右クリック(コントローラーなら右トリガー)だけで自由に時間を巻き戻せる。
例えば、分かりやすい使用例としては授業中の答えを聞いた後で巻き戻して答えることが出来る。さらに、時を戻した場合、起きた結果が全て元に戻るが、取得したアイテムや既に聞いた情報は元に戻らないし忘れないと言う特性もあるため有効活用しよう。
だが、本作品は常に選択することと引き換えに結果が生み出される。巻き戻せるとはいえ、巻き戻せるのは今いる場所だけであり、場面が変わると戻ることも出来なくなってしまう。左上に蝶のアイコンが出る場面がそうだ。
だが、悪いことばかりでは無い。そのキッカケに絡み、大親友であった『クロエ』と5年ぶりに再開することになる。本作品におけるキーパーソンであり、マックスの能力の大半は彼女のために使われることになる。
誰しもがはらむ非日常
前述の様に、冴えない女子高生であるマックスだが、能力を得たとともに非日常の世界に否応なしに放り込まれることになる。それは現実でも遭遇する「いじめ」であったり、まず会う機会のない「ドラッグ」であったりと、学生だからこそ足を突っ込みかねない非日常の世界に自ら飛び込んでいくことになる。
また、本作品には「大人になるとは?」と言う誰しもが明確な答えを出せないテーマも内包している。18歳の誕生日を節目にマックス自身もそのことに関して何度も何度も疑問を呈しながら成長の片りんを見せていく。
そして、久しぶりに再開したクロエの友人『レイチェル』の失踪を探るのが本作品の流れとなる。親友であったクロエにも何も告げず失踪しており。謎が多い存在ではあるが、深く関わってくることになる。
だが、クロエと共に行動することでマックスは常に危険に身をさらすことになる。街の権力者でもあるプレスコット家の長男である『ネイサン』や、クロエの義父であり学校の警備主任『デイビッド』と激しく衝突することになる。
マックスの能力で危険は回避出来るし、どんな些細なことでも常に思う結果を得ることができるが、その選択は本当に良かったのかはそのときにならなければ分からない。そのときになっても良かったかどうかも分からない場合もある。
「大人になるとは、選択することだ。」と昔に筆者は言われた記憶がある。この選択とは夢であったり、友人や親であったりと、明確な対象を指すわけではないのだが。選ぶことで人生が構築され、生活が出来ていく。「もしあのとき、ああしていれば・・・・・・」、予想もつかない人生になっていたかもしれない。
そう、誰にも予想なんてつかないのだ。
絶賛される演出と、類を見ない素晴らしい翻訳
本作品は、2015年度の主要な賞をほぼ総ナメにした(ストアページにも記載有)。ADVゲームでここまで賞を取れることが稀で、過去を見てもほとんど前例がない。
音楽も吹き替えも一級品で、場面ごとに合わせたBGMのチョイスは見事と言うしかない。
翻訳も非常に力が入っており、原版を日本向けに若干改変しているが、分かりにくいスラングや、アメリカのカルチャーを日本向けに違和感なく置き換えており、馴染めるように工夫されている。ここまで翻訳がキッチリ行なわれているゲームは、昨今においては珍しい。
吹き替えに至っては、原版の英語音声と遜色のない見事な吹き替えなので、是非英語音声と聞き比べてプレイして欲しいくらいだ。
特に、ゲーム中に常に閲覧可能なマックスの日記は、人物情報、メール等何度も何度も読むことになる部分だ。他人の日記を読むという、やや背徳感を感じる行為ではある。だが、この心情を平易に読め、理解しやすいのは妙訳のおかげと言えるだろう。
本作品はチャプター毎に分かれており、全部で5チャプターまであるが、導入部でもあるチャプター1は無料となっている。プレイしてどのような作品か見てみるのもいいだろう。
その上で次回のセールを待つのか、それとも全てを読破してしまうのか・・・・・・
歳を重ねた今だからこそ振り返るのもひとつの選択ではないだろうか?
Life is Strangeの推奨動作環境は?
最低要求ではオンボード以上、推奨スペックではGTX260と非常に軽い作品となっている。そのため、ある程度のPCスペックがあれば動作に困ることはないだろう。そのためSteamでのゲーム入門としても非常にオススメだ。
『Life Is Strange Complete Season (Episodes 1-5)』
●DONTNOD Entertainment
●1980円(Episode 1は無料。2015年1月30日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows、MAC、Linux(日本語はWindowsのみ)
ジャンル 女性主人公、時間旅行、物語、良BGM
LIFE IS STRANGE is a trademark of Square Enix Ltd. Square Enix and the Square Enix logo DRAGON QUEST, FINAL FANTASY, TOMB RAIDER, SPACE INVADERS, SQUARE ENIX, and the SQUARE ENIX logo are registered trademarks or trademarks of the Square Enix Group. All other trademarks are the property of their respective owners.
■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat
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