生産は15%増で体制は100人減
2016年6月から移転稼働した日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークは、JR中央線豊田駅から車で約5分に位置する平山工業団地内の三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)日野のなかにある。
もともとこの場所は東芝日野工場があったところで、かつては東芝製の携帯電話を生産していた。
日本HPでは今回の移転にともない、昭島工場とは別に設置していた東京・八王子市の部品倉庫と、千葉県成田市の完成品倉庫も統合。1万9000平方メートルの広さは、昭島工場のPC生産ラインおよび関連エリア、そして、2つの倉庫をあわせた面積とほぼ同じだという。
だが拠点の統合によって、同じ面積を持ちながらも効率化が図られているのは明らかで、生産ラインにおいては昭島工場時代と同じ8本の生産ラインを持ちながら、一直線でラインを構成できるメリットなどを生かして、生産数量は15%向上。7ラインを動かすだけで、昭島工場と同じ1日6000台以上の生産が可能だという。シンプルな生産ラインの構成は、今後のライン拡張につなげやすいといったメリットもある。
また昭島工場時代には、3つの拠点を合わせて約600人体制で運用していたが、新体制では拠点統合の成果もあり、約500人体制で運用。これも効率化のひとつといえる。
ちなみに新たな生産拠点では、すべての生産ラインでデスクトップPC、ノートPC、ワークステーション、タブレットの生産が可能になっている。これも効率性の向上につながっている。
日本HPの岡隆史社長は「今後の日本におけるPCおよびプリンタービジネスの拡大に向けて、余力を持った体制へと移行する狙いが大きい」と、日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークへの移転の狙いを語る。
「時速300kmを出すことができるクルマが100kmで走行するのと、120kmしかでないクルマが100kmを出すのでは、クルマの安定感が違うのは明らか。生産工程もキャパシティーに余裕を持つことで、同様の効果が生まれるはず」と語る。
日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークでは、昭島工場に比べて、20~25%の生産効率化を目指すことができる拠点と見込んでおり、生産台数も1日8000~9000台規模に拡大でき、今後の国内シェアの拡大にも対応できるとする。
実際、日本HPの国内シェアは上昇している。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ