「Dynamics 365はマイクロソフトクラウドで提供されるビジネスアプリの“柱”」沼本健氏
日本語版の「Dynamics 365」を披露、日本MSが限定イベント
2016年12月01日 07時00分更新
日本マイクロソフト(日本MS)は11月30日、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京において「Microsoft Dynamics 365 First Look」を開催した。11月から提供を開始した「Dynamics 365」に関する招待者限定のイベントで、約100人が参加。日本語化されたDynamics 365がデモストレーションする機会は、これが初めてとなった。
Dynamics 365
同イベントの基調講演には、米マイクロソフト クラウド&エンタープライズマーケティング担当コーポレートVPの沼本健氏が登壇し、Dynamics 365の特徴や導入事例、デモなどを紹介した。
沼本氏は「Dynamics 365は、マイクロソフトクラウドで提供するビジネスアプリケーションの柱となるプロダクトであり、新たな戦略的マイルストーンとして注力している」と語る。ユーザー目線に立って、従来のCRMとERPをひとつに統合し、リード/案件化/見積/受注/納品/請求といったビジネスプロセス間を横断し、サイロ化せずエンド・トゥ・エンドで実装できる唯一のプロダクトがDynamics 365だという。
そのうえで、Dynamics 365の特徴は、必要なものからスタートできる「Purpose-Built」、「Office」などの活用により生産性向上を図ることができる「Productive」、標準装備のAI(人工知能)活用による「Intelligent」、既存システムとの整合性と将来的なビジネス成長に対する順応性を持つ「Adaptable」の4つだと述べた。
また、ユーザーニーズに応じてビジネスアプリが追加できることも特徴だという。Dynamics 365では、マイクロソフトのマーケットプレイスである「Microsoft AppSource」にワンクリックで接続し、パートナーが提供する数百ものアプリを容易に活用できる。
さらに沼本氏は、ビルトインされたAIの強みを示しながら、その機能のひとつである「リレーションシップインサイト」を紹介した。これは、Dynamics 365とOffice 365を横断して、顧客とのコミュニケーション活動の状況を自動収集、分析するもので、「営業やサポートで接点が薄くなっている顧客を示す」ことで、担当者は営業活動に専念できるようになるという。
さらに「Dynamics 365 for Customer Insight」では、社内データだけでなくソーシャルデータなども組み合わせ、リアルタイムでデータを分析することで、パーソナライズした情報に基づき顧客との関係強化ができることや、「PowerApps」と「Microsoft Flow」を活用してノンプログラミングでアプリケーションを開発できることを、デモも交えながら示した。
導入事例、成功の秘訣は「新たなシステムと既存システムの統合」
沼本氏は、マイクロソフトクラウドやDynamics 365のグローバルな導入事例も紹介した。
たとえば、スペインの人気プロサッカーチームであるレアルマドリードでは、全世界4億5000万人のファンに対して、パーソナルなエンゲージメントを実現するためにマイクロソフトクラウドを活用しているという。また英国金融機関のメトロバンクでは、Dynamics 365やOffice 365などを活用することで、営業職が常に担当顧客の状況を確認できるほか、新規顧客でも窓口で5分以内に口座を開設し、クレジットカードを発行できる。
そのほか、IoTを活用して予兆保全に取り組むロールスロイスの事例、「ドライブスルー」で独自にチューニングされた「Cortana(コルタナ)Intelligence」を活用し、注文内容を理解しているマクドナルドの事例などが紹介された。
「成功した事例に共通しているのは、新たなシステムと既存システムのデータを統合して活用している点だ。Dynamics 365では、共通データモデルにより、複数のデータをまたいで有機的なソリューションを実現できる。マイクロソフトでは、デジタルトランスフォーメーションを目指す企業に対して、“生き残ることができる”ビジネスモデルの構築の支援を行っていく」(沼本氏)
基調講演の最後には、Dynamics 365において日本だけで120を超えるパートナーソリューションが提供されていることを示しながら、「パートナーとのソリューションとの組み合わせによって、ビジネストランスフォーメーションを加速できる」と、沼本氏は語った。
