普通そうは作らないだろ ネック編
―― じゃ、構造はオリジナルと一緒ってことですね。ちょっと触っていいですか。
友人 いいよ。
―― あ、やっぱ軽いね。さすがセミホロウだ。
友人 でもポジションおかしいでしょ。膝に乗っけるとヘッドが手前に来ちゃう。
―― ショートスケールだし、すごい狭い感じが。フレットボードはフェノール樹脂みたいだな。
友人 エボニーを買うお金がなかったから、オークを黒く着色して塗装したっていう、そういう貧乏臭いところまで再現しているんですよ。あとオリジナルと同じ、ゼロフレット仕様なんです。
―― 凝ってますねえ。で、ネックが太い。いや、ほんと太いな。
友人 バットのようにね。で、こいつが6ペンス硬貨です。これで弾いてみましょう。
―― おーっ、6ペンス硬貨初めて見たぞ。
友人 で、このギターにはブライアン・メイがいま使っている弦と同じものを張っています。これ。
―― あれ、.09なの?
友人 そうなんですよ。昔は.08だったけど。今は.09らしい。
―― ネックはボルトオン……って、ホントにぶっといボルト1本でオンなのね。
友人 木にいきなりワッシャーでボルトナットで止め。どういうことって思うんですけど。
―― これネックの角度、左右にブレない?
友人 ネックジョイントがボディーのセンターまで伸びていて、そこでネジ止めしてあるんで、そこの調整は効くんですけどね。
―― ヘッド裏に伊集院さんの名前入ってるのね。あれっ、これって最近のロックペグじゃん。
友人 最初にレッド・スペシャルをレストアしたグレッグ・フライヤーという人が、シャーラーのロックペグに変えたんですよ。これもそれと同じものを使っていて。でもシャーラーのオリジナルのボタンはこの形じゃなくて、ゴトーのボタンをシャーラーに合うように削って付けてる。だから伊集院さんも同じことをしていて、ゴトーのパーツを削ってシャーラーにハマるようにしているの。

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