中国には「2次元」と呼ばれるジャンルがあり、アニメ・漫画・ゲームなどを総じていう。
特に日本のコンテンツが好きな人々が集まる「ビリビリ(bilibili)動画」のコンテンツを「2次元」ないしは、コスプレーヤーなどの実写モノのコンテンツだと「2.5次元」という。
日本のコンテンツがとにかく好きで中国のコンテンツを見下しているような中国人が、「おおーっ!」と驚愕しハマっている大注目ゲームがある。ゲームアプリ「陰陽師」だ。
日本の豪華声優陣が参加した
中国開発の和風ゲーム「陰陽師」
ポータルサイトでありゲームベンダーの「網易(NetEase、別名163)」が、6月にはAndroid版を、9月にはiOS版をリリースし、早くもブレイク。1000万ダウンロードを突破した。
主人公は安倍晴明など。安倍晴明やその後行動を共にする女の子「神楽」などのキャラクターとともに、さまざまな事件を解決していく。
中世の日本が舞台で、日本のコンテンツ以上に日本っぽさを出したのが特徴のひとつ。多少外国人が見る妄想のクールジャパン的な要素は入っていて、時に金魚が空を飛んでいたり、マップに鯉のぼりがあったり、寿司がアイテムだったり、戦闘終了時にだるまをきってアイテムをとったりするが、強調しすぎて世界観がおかしくなっているということはない。
曲作りには著名な梅林茂を採用しているので、太鼓や笛を基調とした和風音楽もしっくりくる。
日本ぽい世界観以上といえる、このゲームの最大の特徴は、超豪華な声優にある。主人公クラスからチュートリアルからR・Nクラスの妖怪まで、日本の声優が担当しているのだ。
主人公の安倍晴明には杉山紀彰、神楽には釘宮理恵、後の主人公となる源博雅には鈴木達央、八百比丘尼に沢城みゆきを採用。子安武人、阪口周平、関俊彦、高山みなみ、茶風林、水樹奈々などのメンバーがキャラクターの声を担当している。
日本語におかしさはなく、ごく自然にチュートリアルを聞き、キャラクター同士のやりとりを聞き、ストーリーの流れを知ることができる。このゲームは中国語版のみでありながら、ゲーム慣れした日本人なら中国語がわからずとも問題なく遊べるのだ。
外国文化を活用したコンテンツとしては、日本の三国志をはじめとした多数のアニメや漫画のほか、アメリカのカンフーパンダなど、いくらでも例は挙げられる。しかし字幕が母国語ではあるが、外国の著名声優に吹き込んでもらうという思い切りはなかなかない。
この連載の記事
-
第209回
トピックス
海外旅行でAIアシスタントを活用したら、見知らぬ場所にも行けて旅が楽しくなった! -
第208回
トピックス
中国のゲーマーが20数年待ち望んだ国産AAAタイトル『黒神話・悟空』の人気で勝手にビジネスを始める中国の人々 -
第207回
スマホ
折りたたみスマホが次々と登場する中国 カワイイニーズ&成金ニーズがキーワードか -
第206回
トピックス
AI時代に入り、中国独自の半導体による脱米国の可能性は少し出てきた!? -
第205回
トピックス
中国のガジェットレビューがメッチャまとも&有用になっていたのにはワケがあった -
第204回
トピックス
必死に隠して学校にスマホ持ち込み!? 中国で人気のスマホ隠蔽グッズは水筒に鏡に弁当箱 -
第203回
トピックス
死んだ人をAIを動かすデジタル蘇生が中国で話題! 誰もが「死せる孔明生ける仲達を走らす」時代に!? -
第202回
トピックス
停滞感があった中華スマホだが、生成AIが盛り返しのきっかけになるかも -
第201回
トピックス
ようやく高齢者にスマホが普及し始めた中国 ECで爆買い、そして詐欺のカモにされることも -
第200回
トピックス
世界で台頭する新興中国ガジェットブランド総ざらい 有名になる前に知っておきたい -
第199回
トピックス
中国の寒冷地ではEVは不人気!? スマホは大丈夫? 中国の極寒環境のIT事情 - この連載の一覧へ