4月に開催された「ニコニコ超会議」の地方出張版として、全国9ヵ所をツアー中の「ニコニコ町会議全国ツアー2016」。前回の岡山に続き、9月18日に開催した6会場目となる「富山県 南砺市 城端むぎや祭」の様子をレポートしていこう。
豪雨を超えての参加……それは愛?
今年で5年目となる町会議だが、実は過去幾度となく大自然の猛威に脅かされてきた。町会議の会場は、超会議の幕張メッセとは異なり、開催地の夏祭りと併催するのがお約束ということもあって、屋外で実施するケースがほとんど。そこでハードルとなるのが、大雨や酷暑だ。
2013年には台風の影響で、山口県下関市豊北町と東京都檜原村という2ヵ所が開催中止になった。そこまで行かなくても傘をさしたままの開催も多く、特に2014年は愛媛県宇和島市や、福井県あわら市や、兵庫県新温泉町など、雨神に愛された年だった。
もうひとつの酷暑は、会場となった駐車場のアスファルトの照り返しで温度計が40度近くになったり、はたまた学校のグラウンドが会場で熱と土埃がスゴかったりと、こちらもなかなか過酷だ。
今年の2016年は、最初の滋賀県彦根市で少しパラついた以外はずっと天候に恵まれてきた(というか酷暑系だった)のだが、この富山で初めて雨に遭遇。常時小雨、ときおり大粒の雨が降り注ぐ中での実施が決まって、「踊ってみたレッスン」の会場が屋内になるなどの一部変更もあった。
筆者も現地で取材していたが、正直なかなか辛かった。特に芝生がくせもので、一歩踏み出して体重をかけるたびに、緑の芝から豪雨でぬかるんだ茶色の泥が浮き上がってくる。まるで「もののけ姫」のシシ神様のよう……。上からの雨粒は傘や雨ガッパで防げるが、足元はお留守になりがち、ということで、ヒールでおしゃれしてきた女性や、特製ブーツのコスプレイヤーさんなどは、一番苦労したのではないだろうか。
しかし、そうした逆境もあってか、わざわざ現地に来た参加者の「楽しんでやる」という熱気も相当なものだった。ネットで知られた有名ユーザーを一目見たかったり、はたまた自分の歌や踊りを見てもらいたかったり、コスプレ好きで誰かに見て欲しかったりと、それらの願いを叶える絶好の場が町会議だったりするので、ぜひとも参加したい人も多かったはずだ。
実際、傘を持ったり雨合羽を着てメインステージ前に待機していたり、ゲーム実況のテントでは約4時間30分もの間ずっと立って見ていたり、傘を持ちながらコスプレで会場を歩いたりと、「気合入ってるなー」という方々も目立っていた。最終的に地元のお祭りである「城端むぎや祭」と合わせて来場者は5.4万人、ネットの生中継の合計視聴者数は17.7万人と、多くの参加者を集めたという。
筆者が印象的だったのは、オープニングトークで紹介された変な富山弁。「ちんちんかく」=正座する、「抱いてやる」=おごってください、「はんごろし」=おはぎ……と言った具合に、普通に聞くとドキッとするフレーズだ。
19時を過ぎてラスト近くになったDJタイムから、降り続いていた雨がかなり小降りになったのも奇跡的だ。すでに開演から5時間以上経っているわけで、ステージ前に集まったお客さんはだいたい体はずぶ濡れ、足はドロドロという感じだった。その辛さを吹き飛ばすように、爆音で流されたボーカロイド曲に合わせて跳ねて、エネルギーを爆発させていた。現地で参加した人は「完全燃焼」して、かなりの充実感を得られたのではないだろうか。
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