ネット上の膨大なデータを効率的に利用するためにSSDが必要
続いて、「SSDの技術トレンドとサムスンのリーダーシップ」というテーマで、Ryan Smith氏(Director/SSI)が登壇。
スライドにはデジカメやゲーム機など、なつかしいデバイスの一覧が表示された。これらのデバイスは、スマートフォンのようなポケットのなかに入るほど小さなデバイスとアプリの登場によって消滅していると述べた。
スマートフォンやモバイルコンピューティングの普及により、世界中でデバイスがネットでつながり、ネット上のサービスも増え、爆発的にデータ量が増えている。
世界中の通信量は2016年が89EB(エクサバイト、8900万TB)、2020年には194EB(1億9400万TB)に達するという。多くの企業が、この莫大なデータ、特にテキスト・位置情報・写真などの分野で利用価値を見いだし、利益を生もうとしている現状を、かつてアメリカ・カルフォルニアで起きた「ゴールドラッシュ」に例えていた。
このような状況のなかで、高速なフラッシュメモリーはデータの価値を最大化するためのキーになる。
PC向けSSDの性能トレンドとして、年々成長するシーケンシャルリード速度を紹介した。SATA6Gbpsの限界値に到達した2012年〜2014年は停滞するものの、NVMeの採用によりジャンプアップしている。
HDDと比べると、動作音や消費電力、信頼性やライフタイムの向上について信頼性やライフタイムの向上についてもSSDのメリットとして語られることが多い。
リテール品の容量別出荷台数の推移を披露。128GBモデルは増減なく推移しているが、2014年には256GBが128GBを超え、2015年後半には512GBも128GBの出荷台数を超えている。容量あたりの単価が下がっているのがその大きな理由だろう。
「性能・騒音・消費電力・信頼性・フォームファクター(サイズ)・容量」で”ドミノ倒し”のように、次々とHDDのメリットを倒す現象が起きているという。
一般ユーザーにとってもっとも重要な価格についてもドミノ倒しが起こり、2017年には128GB SSDと500GB HDDの価格が並び、2017年後半に256GB SSDと1TB HDDが、2020年に512GB SSDと1TB HDDの価格が並ぶ予測だ。
今後の技術として、SSDとDRAMの性能ギャップを埋める高速な不揮発性メモリー「Z-NAND」についても紹介された。3bit MLCのV-NANDを採用の「PM963」よりもシーケンシャルリード速度が向上し、4KBランダムリードのレイテンシーが激減するという。
2017年にはNVMe SSDの採用率が大きく上がり、SATA SSDの5,200万台のところ、6,400万台に達する見込みだ。
コンシューマー、特に自作PCユーザーにとっては、2017初頭にインテルCPUの最新世代、KabyLakeのデスクトップ版が登場し、対応するマザーボードも増え、ますますNVMe環境が身近になるだろう。ストレージのファーストチョイスがNVMe SSDになるのもそう遠くない未来なのかもしれない。
会場にはサムスン製SSDのラインアップを展示するコーナーも設けられていた。BGAパッケージ内にNANDフラッシュメモリーとコントローラーを納めた「PM971」、Z-NAND採用と思われる「Z-SSD(SZ985)」展示もあった。