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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第159回

「iPhone 7」登場ーーイヤフォンジャック廃止の勇気

2016年09月14日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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 IFAの余波を楽しむ間もなく、恒例のAppleイベントが開催され、モバイル業界は「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」の渦に巻き込まれた。iOSのシェアが下がろうと、iPhoneのシェアが下がろうと、Appleの影響がいかに大きいかを示す格好となった。

2016年Q2に最も売れたスマートフォンは「iPhone 6s」

iPhone 7

 iPhone 7の話題の前に、発売前の状況について紹介しよう。2016年4~月(第2四半期)に世界で最も売れたスマートフォンは、「iPhone 6s」だという。Strategy AnalyticsがiPhone 7発表の直前に出したデータで、iPhone 6sに続く2位は、その前の機種となる「iPhone 6」。上位2機種をAppleが占め、3位がSamsungの「Galaxy S7 edge」という結果となった。

 注意すべきは、iPhone 6sが2015年秋にリリースされた機種であり、iPhone 6に至ってはその1年前、2014年9月に発売されたものだ。ご存知のようにAppleのOSでのシェア、メーカー別シェアは下がっている。フォームファクタや機能に新鮮さがないなどといわれても、結局人々はiPhoneを買っているのだ。

 IDCが発表した最新のOS別シェアで、iOSは13.9%。前年同期比12%の減少となった。トップのAndroidは85.3%という圧倒的なシェアを謳歌し、前年同期から6.7%の増加となっている。Androidが増加しているが、Androidスマホは星の数ほどある。それらを合計するとAndroidの増加になるが、機種別で売れているのはあくまでiPhoneなのだ。

 念のためにOSシェアの3位に触れておくと、それはもちろんWindows Phone。シェアは前年同期比75.2%マイナスの0.5%、4位の「その他」も0.3%。2020年の予想シェアはほぼ変わらず、Androidは85.7%でiOSは14.2%。Windows Phoneに至っては0.1%でその他は0%という予想だ。

 スマートフォンは本当に、PCと同じ構図になってしまった。

イヤフォン端子の廃止は海外でも大きな話題に

 このような状況の中で登場したのがiPhone 7/7 Plusとなる。

 FeliCa、防水対応など日本ユーザーにうれしい新機能、プロセッサ、カメラはさておき、最大の変化はイヤフォンジャックの廃止だろう。予想されていたことではあるが、反響は大きいようだ。Bluetoothヘッドセットでの通話になれている(=抵抗が少ない)欧州や米国でもネガティブな声は少なくない。

 問題は、同梱されるLighthing端子を使った「EarPods」を使うと、充電か音楽かを選ぶしかないという点、別売りになるワイヤレス接続の「AirPods」がいかにもすぐになくしてしまいしそうにみえる点だろう(AirPodsにはW1チップが搭載されているが、”Pods”というネーミングに、Appleはこれ単体でも進化させていくような意図を感じる)。

 また、iPhoneからイヤフォンジャックがなくなると、大量の有線イヤフォンジャックの電子廃棄物が出るとして、米国ではiPhone 7を発表する前に電子陳情も起こっている。それぐらい、iPhoneになにがつくか、つかないかが消費者の行動に影響するということだろう。

 以前のLighthing端子への変更の際も、あれこれと意見はあったが、iPhoneのシェアに影響することはなかった。AppleのPhil Schiller氏は「突き詰めると”勇気(Courage)”の一言にたどり着く」と、考えた末の決断であることを発表の場で語っているが、Appleの”勇気”をAppleユーザーは受け入れるしかないのだろう。

 そして、”勇気”をもってイヤフォンジャックからEarPodsに移行し、充電のタイミングを注意するようになるか、AirPodsに手を伸ばすことになるのだろう(そして、なくなるからと予備を備えることになるのだろう……AirPodsのありかをiPhoneが知らせてくれるサービスがあるとよいのだが)。

 ちなみにイヤフォンジャックの廃止はiPhoneが初めてなのではない。過去には薄さを追求する目的で、中国メーカー(Oppo、Vivo、LeEco)中心に行なわれている。Lenovoが今年発表した「Moto Z」もイヤフォンジャックを持たない。

中国市場など、極端な薄型を争うスマホの中にはイヤフォン端子を持たないモデルは少なくない

 このように、iPhone 7は新しい機能よりもなくなってしまった機能にいまのところフォーカスが向けられているが、来年のiPhoneではAMOLEDディスプレー搭載も噂されており、新しさを感じるものになるかもしれない。

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