東京ビッグサイトで8月22日(友引)から24日まで葬祭業界展示会「エンディング産業展2016」が開かれています。三菱電機の新製品発表会で隣の西ホールに行ったとき看板が目に止まり、これもご縁とお邪魔してきました。
最新の葬儀技術を探していたとき、パンフレットを渡されたのが「葬儀業界専用ムービーアプリ『葬ストリーム』」。開発元は葬儀会社アーバンフューネスコーポレーション。面白そうなので話を聞こうとブースを覗いたところ「間もなく上映です!」の声とともに同社制作のプロモーション映像がディスプレーに流れはじめました。内容をざっと紹介しますのでまずはご確認ください。
「バック・トゥ・ザ・フューネラル」のロゴが大写しになったところで映像は終わりました。いろいろコメントに困る演出もありましたが基本的には「旧態依然とした葬祭業界はIT化しないと新興業者に駆逐されかねないぞ」と警鐘を鳴らす内容でした。映像のあとアーバンフューネス社の従業員と思われる男性2人があらわれ「アーバンです」「フューネスです」「アーバンフューネスです」と、スケッチブック片手に「理想の葬式業界コント」を始めましたが、そこは省略します。
あらためて話を聞くと、アーバンフューネスは業態としてもユニークなIT系葬儀会社でした。セレモニーホール(自社会館)を1箇所しか持っていないにもかかわらず葬儀施工数は年間2000件超、2002年創業以来の増収続きの成長企業です。
なぜそんなことができるのか、その秘訣がまさにIT施策です。同社の売上は6割が家族葬。創業当初からSEO対策は万全で「地名+家族葬」検索結果でつねに上位を獲得してきたそうです。24時間365日対応のカスタマーセンターも設け、深夜・早朝の搬送にも対応。不動産は極力持たず、人員をシステマティックに管理して、品質と利便性で勝負する。IT時代の葬儀会社というわけですね。
14期連続増収の要になっているのが顧客・施工管理システム「CROW」。自社用に開発していたDB管理ツールを業界向けに発売したものですが、一般のIT企業が開発している製品より現場目線で使いやすいと評判ということです。その他にもセレモニーホールの情報を集めるためにセレモニーホール情報掲載アプリ「葬ロング」、自社を含めた葬儀会社を選べるサイト「葬儀ガイド」などを開発・公開。情報サービスを自社の利益につなげている面がとても大きいようです。
ちなみに冒頭で紹介した「葬ストリーム」は葬儀場のプロモーション映像を撮るための無料アプリで、VRによるバーチャル内見対応予定も視野に今秋リリースをめざして開発を進めているそうです。余談ながら「葬儀場VR」は他社も取り組んでいます。「結婚式場VR」「賃貸マンションVR」などと同様に、バーチャル内見系サービスの1つとして定着していくのではないでしょうか。
高齢化社会、葬儀業そのものは拡大傾向の成長産業です。ただし葬儀費用そのものは低価格化の傾向にあり、イオンなど異業種大手が参入したことで競争にも拍車がかかっています。kamazonのような業者がいつあらわれても不思議ではありません。破壊者があらわれたとき、IT葬儀会社の雄であるアーバンフューネスがどうやって抵抗するのかはとても気になるところですね。
盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、記者自由型。戦う人が好き。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中。
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