「インターネットで知り、前から一度見てみたかった。カスタマイズ大好きなので」
人気腕時計Knotの直営店が3日、大阪・心斎橋にオープン。プレオープンデーの1日は12時開店とともにKnotのファンたちが続々とつめかけた。ファンが口々に言うのは「手にとって見てみたかった」という言葉だ。
Knotは昨年生まれたばかりの国産腕時計ブランド。信条はシンプルで「良いものを安く」。サファイアガラスなど材質にこだわり、デザインはシンプル、1万円台から買える手軽さを売りに展開し、予約待ちの製品も多い。
安さのからくりは直販モデル。基本はネット直販で売ることで間接費を下げ、売価に反映している。そのため「実物を見てみたい」「実際に試着してみたい」といった消費者からの声が全国から多く寄せられていた。
もう1つの特徴はケース(本体)とベルトをカスタマイズできること。店頭には商品のガラスケースがなく、自分の好きな組み合わせをすぐに試せる。お客さんには女性も多く「これかわいい」「えーどうしよ」などと楽しそうにやっていた。
Knot直営店は東京・吉祥寺に続いて2店舗目だ。
文字盤にアラビア数字を配したブラックケース、ブラックスチールのブラック×ブルーモデル(ケース2万1600円、ベルト4320円)のように、大阪ショップで先行発売する製品を「限定やからな」と買っていく客の姿が目立った。
京都の「組み紐」を使ったベルト、栃木レザーの新デザインベルトも各4320円で初登場。組み紐ベルトは開発がギリギリになり数点しか間に合わなかったということだが、また「予約待ち」ラインに入れられる予感がする。
……にしても、プレオープンデーは最高気温36度の猛暑日である。みなさんよくいらっしゃると感心させられた。心斎橋駅3番出口から3分ほど歩いて店に行っただけで汗だらだら。それでも客足はたえる様子を見せなかった。
関西出身のカメラマンさんから教えてもらったことには、心斎橋はもともと繊維問屋が集まる問屋街。メインストリートにはロレックス、オメガ、フランク・ミュラーなど高級時計ブランドが軒をつらね、数十万〜数百万円の時計を売っている。
しかし1本、2本と道を入ると様子が変わり、カジュアルファッションの街になる。今年4月にオープンしたNY生まれの人気ショップ・サタデーズサーフを始め、洗練されたお洋服屋さんが並ぶ南船場の街である。
(ちなみに街を歩いていると外国人の姿もかなり目立った)ちょっと歩けば、若者が集まる古着の街・アメリカ村もある。初めは戎橋筋の様子を見て「超高級ブランドにケンカ売るのか」と思ったが、東京・吉祥寺と同じように、カジュアルに時計を売ろうという路線のようだ。
海外なら眼鏡ブランドWarby Parker、日本でもファクトリエ、kay meのように、インターネット直販から生まれたブランドの出店例はある。が、東京・大阪と2地域をおさえ、路面店を展開するのは国内ではおそらく初だ。
直営店が成功をおさめれば、日本の大商圏をおさえつつ、同時にアジアでの展開に向かうはず。まず1〜3年目の収支が注目どころだ。
最後に余談ながら、オープン記念で振る舞っていただいた、薔薇の香りがするあんこをトロッとかけた『かき氷 薔薇あん』が最高だった。腕時計もいいけど、あれで原宿あたりに出店したらバカ売れするんじゃないかなー。
Maker's Watch Knot 心斎橋ギャラリーショップ
〒542-0081
大阪府大阪市中央区南船場4-8-4 ブリーズ南船場
営業時間 11:00~20:00
電話番号 06-4963-2525