2016年はスマホの出荷台数で
MicrosoftやNokiaを一気に抜き去るか?
Oh氏はこのインタビューで、数ある中国のスマートフォンベンチャーの中でLeEcoを「注目すべきベンダー」に挙げた。では、実際の業績はどれほどか。
同社の業績は2015年第4四半期から大きく右肩上がりを描いている。グローバルのシェアは1%に達するかというところだが、通年のフォーキャストではMicrosoft(Nokia)、HTCを上回ると予想されている。「2015年の出荷台数は400万台だが、2016年には1400万台を見込む」とOh氏、これは250%の増加となる。
LeEcoは「次のXiaomi」とみられることもあるが、Xiaomiとの比較はさまざまな点からできそうだ。確かに安価な端末という点はXiaomiと同じだが、Xiaomiとは違ってプレミアム狙いであり、「技術主導」とOh氏は技術力も評価する。
国際展開のアプローチも異なる。両社とも大市場のインドに参入しているが、Xiaomiが米国を避けるように新興国市場を攻めているのに対し、LeEcoはVizioの買収でまずはTVで米国に参入を果たす。スマートフォンも米国展開が近いようだ。4月には、米国のChief Revenue OfficerとしてDanny Bowman氏を、Chief Administrative OfficerとしてShawn Williams氏の両氏を、いずれもSamsungから引き抜いている。
もう1つが、コンテンツだ。Xiaomiはコンテンツを持たないが、LeEcoはコンテンツからスタートしたベンダーだ。その点では、Apple、Samsungが目指すものと同じだ。
アストンマーチンにもすでに出資
電気自動車に力を入れている
そのApple、Samsungより先を行っているものもある。自動車だ。
LeEcoは1月のCESで、Faraday Futureとして電気自動車のベンチャーも立ち上げた。2月には、英国の自動車メーカーAston Martinへの投資を発表した。共同でAston Martin初の電気自動車を開発するというものだ。提携の下、Aston MartinはFaradayのプラットフォームをが利用するのではといわれている。
Jia氏は4月、「LeSEE」という初の自動運転カーも披露している。自動車事業は2015年に組織を正式に立ち上げたばかり。そのスピードに驚くばかりだ。なお、2015年には中国の配車サービスYidao Yongcheの70%の株式を取得している。このように、それぞれの成熟度は低いかもしれないが、LeEcoはTesla、Uber、Netflix、Samsungの要素を兼ね備えているのだ。
Xiaomiはすでに精彩を欠きはじめたように見えるが、次から次に新しい企業が出てくる。中国市場のたくましさを感じる。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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