逆転、逆転、また逆転!
スーパーフォーミュラは見所満載!
7月17日に富士スピードウェイで決勝レースが行なわれた全日本スーパーフォーミュラ選手権 第3戦。前日までの雨は収まったものの、空は厚い雲に覆われている。
前日の予選では雨が徐々に霧雨になり、ドライの路面が顔を出した予選3回目(Q3)でうまく路面をつかんだのが「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」の41号車 ストフェル・バンドーン選手。ただ一人だけ1分40秒台に入る1分40秒778で堂々のポールポジション。
さすがF1バーレーンGPでフェルナンド・アロンソの代打でマクラーレンから出場し、10位でポイントを獲得した選手だ。
2位にはスーパーフォーミュラ唯一の痛車チーム「INGNG」の1号車 石浦宏明選手が1分41秒050を記録していたが、バンドーン選手の速さが際立った。
ちなみに、スーパーフォーミュラのノックダウン式予選のQ3では、ポールポジションから8位の37号車「VANTELIN KOWA TOM’S SF14」中島一貴選手まで0.5秒ほどしか差がないという超接戦。ワンシフト、ワンアクションで勝敗が決まってしまう予選は、本当に厳しい戦いである。
決勝レースは完全なドライ路面で開催された。午前中のフリー走行でも雨がパラついており、完全にドライになったのは決勝レース前の8分間のウォームアップ走行だけ。ここでのセッティングはレースの勝敗を大きく左右することになる。
ポールポジションからスタートしたバンドーン選手は、直後のTGRコーナー(1コーナー)でタイヤロック! 直後にいた石浦選手がトップに立った瞬間になんとオーバーラン! このとき、石浦選手の直後に迫っていた「ITOCHU ENEX TEAM IMPUL」のJP・デ・オリベイラ選手と中島一貴選手が1~2位となった。
オリベイラ選手がペースを上げて差を広げようと猛プッシュをするが、それが仇となってコースアウトを喫すると中島一貴選手がトップへ浮上。このまま逃げ切るかに思われた矢先にINGINGの2号車 国本雄資選手がギアボックストラブルでスピン。そのままコースにとどまってしまいセーフティーカーが導入される。ここで各車の差がぐっと縮まった。
そこで後半、徐々に追い上げてきたオリベイラ選手とトップの中島選手の差が1秒に縮まってくると、タイヤを温存してきたオリベイラ選手が一気に勝負を仕掛ける。ラスト5周のTGRコーナーでオリベイラ選手が前へ飛び出してトップへ。
そのまま勝負はオリベイラ選手のチェッカーで決まった。
2位は中島一貴選手、3位はオリベイラ選手のチームメイトである関口雄飛選手となった。注目されていた小林可夢偉選手は10位と低迷していた。
レース後、チームルマンが独自に行なった記者会見で、可夢偉選手はこの富士戦から採用されたブレーキについて苦言を呈していた。その苦言の内容は自身のマシンだけに限らず、バンドーン選手が47周目にリタイアしたことへも言及。「何の兆候も無く突然壊れるブレーキは、とてもレースで使えるものではない」と、スーパーフォーミュラのオーガナイザーへ改善を要求する場面も見せていた。
スーパーフォーミュラのマシンはダラーラ製のシャーシ、ヨコハマのタイヤなどすべてが共通化されており、大きな部品で言えばエンジンだけがトヨタとホンダから選択可能な2リッターターボという、ほぼイコールコンディションだ。
ドライバーは日本国内ではトップクラスといわれる19人。そこにはF1経験者や現役でF1に乗っている選手も含まれるのだから、見ていて面白くないわけがない。
次戦もてぎは8月20~21日に開催されるが、そこでは新しい2スペックタイヤ制というものが導入され、タイヤ交換のタイミングとその効果で、どんなレース展開になるかが注目されている。興味を持ったら、ぜひサーキットまで足を運んで、その目でスーパーフォーミュラを体験して欲しい。
全日本F3やGT ASIAなど
併催レースもド迫力の面白さ!
スーパーフォーミュラと併催された全日本F3選手権。SUPER GTドライバーと、FIA-F4、スーパーFJなどのエントリーカテゴリーから上ってきたドライバーが熾烈な争いを繰り広げており、大注目のカテゴリーなのである。
こちらは16日土曜日に予選2回と第9戦の決勝、そして17日日曜日に第10戦の決勝が行なわれた。
第9戦の優勝は22号車ヤン・マーデンボロー選手。SUPER GTではGT300クラス「NDDP RACING」の日産・GT-R NISMO GT3で出場し、第2戦富士で優勝している。
第10戦の優勝は23号車・千代勝正選手。SUPER GTではGT500クラスに「S Road CRAFTSPORTS GT-R」で出場し、開幕戦岡山で激しいバトルの末、3位入賞をはたしたドライバーだ。
F3選手権には1レースで2クラスが混走する。エンジンが「TOYOTA TOM'S 3S-GE型」に限定され、より出場しやすいクラスとしてN-CLASSがあるが、こちらは両戦ともに松井孝允選手が優勝。松井選手はSUPER GTのGT300クラスに「VivaC 86 MC」で出場している。
そして、GT ASIAはFIA-GT3カテゴリーのマシンで行なわれる。日本のSUPER GTのGT300クラスに出場するGT3マシンとほぼ同じで、違いはタイヤがミシュランで統一されていること。コントロールタイヤ制を採用している点ではスーパー耐久のST-Xクラスと似ている。このマシンたちが中国やマレーシアなどアジアを転戦してシリーズチャンピオンを決めるのだ。
ただし、同じGT3カテゴリーであってもSUPER GTとはマシンの顔ぶれが大きく変わる。日本ではこのGT ASIA日本ラウンドでしか見ることができない「ベントレー コンチネンタル GT3」が参戦している。
空気抵抗に問題がないのかと疑ってしまうほどの大きなフロントグリルを持ちながらも、その迫力で観衆を魅了する。
その他、SUPER GTでもおなじみのフェラーリやランボルギーニ、ポルシェ、アウディなども参戦。日本のレースと比べると接触が多いが、それがレースの見どころにもなっている。