アプリで消音効果や音質の調整ができる
ではREFLECT AWAREを具体的に見ていきましょう。
メーカー公式通販サイトでの価格は2万6870円。同タイプイヤフォンの代表機種であるBOSEの「QuietComfort 20」が3万240円ですから、なかなか微妙な設定です。
カラーバリエーションはブルー、ブラック/レッド、ティールグリーンの3色。ドライバーユニットはおよそ14.6mmと大口径のダイナミック型。内蔵DACの解像度は48kHz/16bitで、ハイレゾには対応しません。
通常のカナル型のように、イヤーチップを耳穴に差し込んで固定するのではなく、フィン型のスタビライザーで支持するスタイル。結果として得られるのは、耳の上に載せるような独特の装着感で、これはカナル型が苦手な人には向いているかもしれません。イヤチップとスタビライザーは別々に交換可能で、それぞれS/M/Lの3サイズが用意されています。
試聴にお借りした機材はティールグリーンで、若干派手な蛍光色ということと、全体的なデザインテイストがスポーツタイプのイヤフォンのようで、シックさや高級感はハナから狙っていないものと見受けます。
ケーブル途中のリモコンには、通話用のマイクや音量・再生操作用のボタンのほかに、ノイズキャンセルのオンオフ、そして3段階の消音効果が選べるボタンが付いています。ノイズキャンセル関係の操作時には、女声のボイスナビゲーションで現在の状態を知らせてくれます。ノイズキャンセリングシステムは、フィードバックとフィードフォワードの両方式を使うハイブリッド方式です。
Lightning接続のイヤフォンらしい機能としては「My JBL Headphone」というアプリに対応していること。このアプリを使って、ノイズキャンセリングのオンオフ、消音効果の選択のほか、ファームウェアのアップデートにも対応している点です。
このアプリで有益に感じたのは、イコライザーの設定で、プリセットの他に、10バンドのカスタムカーブを作って保存できます。このイコライザーは、ノイズキャンセリングオフでも効くのがミソ。
これはREFLECT AWAREに限らないことですが、ノイズキャンセルのオンオフで大なり小なり音の特性が変わります。そのユーザー補正がある程度可能なところが、実は新しいところかもしれません。
メリットがわかりやすいノイキャン搭載
REFLECT AWAREの基本的な特性は、やはり大口径ダイナミック型ならではのもので、低域の余裕ある再生能力の魅力があります。ノイズキャンセルオンでは若干ブーミー、かつ4kHzあたりにピークを感じ、ノイズキャンセルオフでは、それらの帯域が抜けるというチューニング。
ただ、REFLECT AWAREはノイズキャンセルのオンオフにかかわらず、常時DACアンプを通しているので、オンオフの差はもう少し詰められるはず。そこが気になる場合は、先のイコライザーで調整ということになるのでしょう。個人的にはノイズキャンセルオンの状態で、ピークを削った設定が気に入っています。
ノイズキャンセリングシステムの消音効果については、カナル型イヤフォンの遮音性を補助する仕組みとしては有用と感じました。カナル型が遮音するのは主に中高域の成分で、低域については透過しがち。特に電車の中では、低域の環境音を相殺してくれるので、ノイズキャンセルを入れると少し楽に聴けます。
ただし、3段階選べる消音効果のうち「HIGH」を選んだ場合は、風切り音のようなレゾナンスが生じ、ノイズとして耳につきます。実際に使えるのは「MEDIUM」か「LOW」でしょう。消音効果は低くなりますが、電車内のアナウンスを聞き取りやすく、日常的な設定としては十分です。
消音効果はBOSEの方が明らかに上ですが、REFLECT AWAREのノイズキャンセリングシステムは、Lightning接続であることメリットを分かりやすく表現したもの。そう考えれば、新しもの好きにはJBLの方が魅力的に見えるかもしれません。
