2台買うと高いのが問題
今回はワイヤレスサラウンドは試すチャンスがありませんでしたが、SongPal Linkのワイヤレスステレオは音楽のリスニング用として常用できそうです。問題は、SRS-ZR7を2台買うと8万円を超えてしまうこと。より安価で同じ機能を持つh.ear goでも、2台買うと6万円。セパレートスピーカーで音質を求めるなら、同社の「CAS-1」に手が届いてしまうのが悩ましいところです。あれは本当に音がいいので。
現状、SongPal Link機能を活かせるのは、家族で同じ機種を複数台使う場合でしょう。たとえば、いつもはそれぞれの部屋で使い、映画を観るときはリビングに持ち寄って、サラウンドシステムとしてグルーピングするという、絵に描いたようなシチュエーション。あるいは普段からワイヤレスステレオでグルーピングしているのに「あたしこれキッチンで使うから」などと奥さんに言われ、泣く泣くリンクを解除して1台差し出すというような現実的状況とか。
それはともかく、もしワイヤレスステレオで使うなら、ぜひ縦置きで使いたいと思いました。設置スペースを取らない上に、定位や音質の改善も望めるからです。SRS-ZR7は、ユニット構成からイメージできる通り、重低音のボリューム感重視で、音源によっては出すぎではというくらいローの音圧が高い。それを縦置きにすればローエンドもタイトになり、すっきり解決。本体背面に壁掛けブラケット用のネジ穴が空いているので、これを利用して縦置きスタンドが作れないかと思ったりもしていますが、いかがなものでしょうか。
いずれにしても、SongPal Linkはワイヤレスのメリットを突き詰めて考えたらこうなったという、いかにもソニーらしい機能でした。低価格帯の機種への敷衍や、最初からステレオペア設定での製品開発など、今後の展開を楽しみにしております。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
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