6月22日、Evernote社CEOのクリス・オニール氏が来日し、同社のクラウドサービス「Evernote」の今後の方針などを解説しました。なお、オニール氏による日本向け記者説明会は今回が初めてです。
世界2億人が使うサービスへと成長するEvernote
Evernoteといえば、定番のクラウドメモサービスで、文字や画像はもちろん、録音データや手書きメモを保存可能。また、検索機能は文字だけではなく手書きメモやOfficeやPDFファイルの中身まで対象となっています(一部機能は、有料会員向け)。
2008年からサービスが開始され、会員数は全世界で2億人に達する見通し。31の言語に対応しており、全世界で50億ものノートがすでに保存されているとのこと。
ちなみに、日本市場は同社の売り上げベースでは米国に次いで世界2位。ユーザー数では世界4位になるとのこと。そのほか、アンバサダーの活動など社内KPI(重要業績指標)でも、常に高い水準を保っているとのことで、「日本は成功しているNo.1に近いマーケット」(オニール氏)のようです。
ロゴに象のモチーフを使い、「象は決して忘れない」ということわざをフィーチャリングしていることからわかるように、Evernoteのコンセプトは「すべてを記憶する」、「人間の脳の拡張」となっています。
そんな「記憶する」ことに関して注力してきた同社でしたが、オニール氏は「Evernoteの新しいミッションは“あらゆるアイデアの可能性を引き出す”ことだ」と言います。
「覚える」から「考える」へとフォーカス
日本・APAC市場での事業計画も発表
オニール氏は、提供初期について「いわゆるアーリーアダプターの方に多く使っていただいた」と振り返り、「一方、現在は技術レベルの高くない人にも利用していただいており、そんな方には何か手助けをするような取り組みが必要だ」と説明。
今後リリースする製品(機能)などは、「AI・機械学習などの先端技術を取り入れる」「アイデアをいかに活用するか」にフォーカスしていくと語り、長期にわたって持続可能な事業へと成熟させていきたいと意気込みました。
加えて、同社のジェネラルマネージャー・井上健氏は日本事業のアップデートについて解説。今年1月から東京オフィスで中国を除くAPACの統括を行なっており、今年第3四半期からは、日本で成功しているリセラー事業などをタイを中心とした東南アジアに広げる予定とのこと。
さらに、独自のアフィリエイト制度や、会員料金の支払い手段の拡充、地域別に価格の最適化をいずれも今年第3四半期に予定していると発表。とくに、価格については「高校生でも使えるようなものも用意したい」と語っていることから、学生向けのプランなども用意されるのかもしれません。
また、Windows向けEvernoteがデスクトップアプリ版とストアアプリ版の2種類存在し(さらに、Windows Phone向けのアプリもある)、こちらの一元化の予定はないかと質問したところ、「Windowsについては、マイクロソフトとのパートナー関係もあり、非常に重要なプラットフォームだと考えている」と述べた上で、「現時点ではまだ(UWPアプリなどへの)一元化の予定はないが、社内では逐次評価を行ない、検討している」と回答しました。
Evernoteは、CEOが変わっただけでなく、多くのサービスを一元化・廃止したりなど、よいニュースが少なく、いちユーザーとしては今後の展開が気になるところでした。今後の方針や質問の回答を受けて、いまだに心配な気持ちはぬぐえていませんが、新しい料金制度や新ミッションに従った機能はぜひ体験してみたく、期待がふくらみました。今度の動向に注目してきたいと思います。