このページの本文へ

8限目:「キャッチコピー」の 「ピラミッド」から脱出せよ (2/2)

2016年06月10日 11時00分更新

文●森田哲生/Rockaku

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

キャッチコピーを書き分けるためのナビゲーション

ピラミッドの地図を、いま担当している目の前の業務と照らし合わせたとき、「書かなきゃいけない人」であるみなさんが書くべきキャッチコピーの大半は、「販促の間」の中に分類できるものだったのではないでしょうか。

つまり、イメージよりも具体性。ブランディングや話題性よりも売上やPV 数、クリック数を稼ぐコピー。ある意味、Webらしいキャッチコピーです。もちろん、「Web らしい」という意味では、バズるということも重要かもしれませんが、今回はこの「販促の間」にあるキャッチコピーに話を絞って、どう書いていけばいいかをナビゲーションしていきましょう。

目標は、「最低限機能するキャッチコピーを30分で3案程度は意識的に書き分けられるようになること」。だって、EC サイトの商品ページや、キャンペーンのバナーをつくるときに、キャッチコピーだけで100 案とか書いていくのは現実的じゃないでしょ。それに、意識的に書き分けられないと、クライアントや上司、チーム内に提案するときに説明もできませんし、A/B テストの効果測定でも効率的な絞り込みができません。そんなわけで、さっそくやってみましょう。

ええと、漠然と理屈を話していってもふわっとしてしまうので、なにか題材を決めましょうかね。できるだけ多くの人が共感できる題材が欲しいなあ。なにかいいネタないですかね。あ、そうだ。この授業(=本)のキャッチコピーをイメージしてみましょうか。プロセスはどうあれ、みなさんはこの授業(=本)を受けている(読んでいる)わけなんで、これが一番わかりやすいでしょう。系統別のキャッチコピー案と解説、制作ポイントに加え、ユーザーが抱くべき「読後感」をまとめておきます。

【1】ターゲット明示型

例:Web 担当者の必修科目!
機能的なコピーの書き方が基礎から学べる1 冊

まあ、こう書いちゃうと非常に普通に見えますが、「誰に向けたものか?」を明確にする方向性のオーソドックスなキャッチコピーです。実をいえば、この授業のタイトルそのものが「ターゲット明示型」の応用でつくられています。そうです。「書かなきゃいけない人」って、あなたやあなた、それに、あなたのことですからね。この例では、コピーが書名の近くに配置されることを意識して「書かなきゃいけない人」を「Web 担当者」としてさらに具体化し、「教室」を連想させる「必修科目」を加えました。

このタイプが多く使われるのは、健康食品やサプリメントの世界。同じブランドで品数が多いEC サイトなどでは、「血圧高めの方」「疲れやすい方」「お肌の調子が気になる方」みたいな感じで、ターゲットを明確にすることで、選びやすくして、かつ、「あ、私のことだ」という共感から、「手にしてもらう」「クリックしてもらう」といった王道的なプロセスを設計したキャッチコピーが数多く見られます。

また、この「ターゲット明示型」のキャッチコピーは、しっかり書けることも大切ですが、それ以前に、「届けるべき相手」を明確にしておかなければ書けない点においても、みなさんが書くべき「販促の間」のコピーの基本形となります。

【2】まき餌型

 

例:キャッチも見出しもリードも自由自在!?
文才不要のWeb コピー設計術を伝授!

「まき餌型」というと、なんかエグいですが、ターゲットをきちんと想定した上で、ターゲットそのものを表す言葉は使わず、そのターゲットが求める、興味があるであろう具体的なキーワードをちりばめるタイプのキャッチコピーです。ゆえに、「ターゲット明示型」を書いたら、その発展型として展開しやすいタイプと言えます。

例となるコピーでいえば、ターゲットは「書かなきゃいけない人」。つまりコピーライターではないけど、コピーを書かなければならないWeb 担当者や広報担当者、Web ディレクター。その人たちが「コピー書かなきゃ!」という状況の中で、直面しがちなわかりやすいコピーの種類として、「キャッチ」「見出し」「リード」などをリズミカルに列記し、現状抱える「どう書いたらいいんだ!?」という悩みから解放されるイメージで「自由自在」を配置。感嘆符の「!?」はあえて、謎というか好奇心をくすぐる表現にしています。「文才不要」はとっつきやすさを、「Web コピー設計術を伝授!」で、一応、なんの本なのかを担保しています。

【3】突撃型

 

例:「見れば書ける!」図解だらけの
Web ライティング指南書

さあ、ちょっと応用編に入っていきますよ。「ターゲット明示型」「まき餌型」は、訴求点を広めに取って書くことが多くなりますが、この「突撃型」は、訴求点を絞り切って一点集中させて書くタイプのキャッチコピーです。当たれば効果も大きいぶん、外すリスクも伴うので、「突撃型」と名付けました。

この作例ではこの本がコピーやライティングの本であるにもかかわらず、「図が多いこと」をユニークとして捉え、そのファクトだけに振り切った表現を試みています。「突撃型」でのポイントは明快です。商品やサービスの特徴をリスト化して、その中で特に強いもの、響くものを選んでその表現だけに集中してください。競合と比べても明確なウリがある商品であれば一定の効果が期待できるはずです。

【4】ミステリアス型

例:カレー、魔法、看板、サッカー、ムシ歯……
例え話で理解するWeb コピーのつくりかた。

今度はちょっとだけ高等なテクニックです。「ターゲット明示型」「まき餌型」が「わかりやすさ」を軸としていたのに対し、あえて「わかりにくさ」、つまりは「謎」を全面に出すタイプのキャッチコピーがこの「ミステリアス型」です。ただし、単に「わかりにくい」だけではダメです。個々のキーワード同士が衝突し合い、インパクトを生んでいることが重要。このあたりは3 限目の「見出し」の授業で詳しく解説しているので復習してみてください。

この連載の目次を見ていただければ一目瞭然ですが、各時限のテーマをちりばめています。でも、本を手に取る前、授業を受ける前の状態だったらどうでしょうか。そうです。意味不明です。でも、「カレー」「魔法」「看板」「サッカー」「ムシ歯」という、全然関連性がなさそうなキーワード群と、「Web コピー」という関心事がぶつかることで、ちょっと大きめの「!?」が生まれるはずです。そこで芽生えた好奇心を原動力に、本を手に取る、紹介ページを読む。欲をいえばAmazon で「1Click で今すぐ買う」を押してしまう……というアクションに持ち込めたら大成功。

ただしこの「謎」は、5 秒くらいで解ける程度の謎が好ましいです。投げっぱなしの「謎」は欲求不満を生み、がっかり感と直帰率を引き上げます。「謎」を投げかける意味って、自分で「答え」を突き止めたときの快感を通じて、より深い「コミュニケーション」と「共感」を得ることにあるわけですからね。

脱・感覚主義!

さて、いかがでしたか? 迷い込んだ「ピラミッド」からの脱出にめどは付いたでしょうか? 今回の授業で感じ取っていただきたかったのは、結局、「安易に書き出してはいけない」ということ、そして、「自分がなにを書くべきかを見失ったらミイラになる」ということでした。

キャッチコピーは直感に訴える部分が多いため、選定やダメ出し、修正指示も感覚的に行なわれるケースが多く、これが「書かなきゃいけない人」をいっそう追い詰め、ピラミッドの奥へと引きずり込むんです。だからこそ、いつでも自分のいる位置、進むべき道筋を把握しておくことが重要。さあ、この授業で学んだことを頼りに、もう一度、あのピラミッドに挑んでみてください。生還は……保証しませんが。


この連載が本になりました!

前代未聞!? カレー、魔法、看板、サッカー……などなど、身近な「例え話」で学ぶWebコピーライティング教室が単行本になりました。連載時の原稿を全面的に見直して、キャッチコピーの書き方やトーン&マナーの設定方法、SNS投稿のコツなど、書き下ろし原稿も加えた「パワーアップ版」としてお届けします。Web担当者、ディレクター、EC店長など、コンテンツマーケティングに取り組む人必読の1冊です。

Image from Amazon.co.jp
書かなきゃいけない人のためのWebコピーライティング教室

書かなきゃいけない人のためのWebコピーライティング教室

  • 森田哲生[著]
  • 価格: 2,160円 (本体2,000円)
  • 発売日:2016年06月17日
  • 形態:A5(176ページ)
  • ISBN:978-4-04-8656252-0
  • 発売:KADOKAWA
  • 目次
    1限目 カレーで学ぶ、書くための「レシピ」
    2限目 「魔法」でわかるWebコピーライティングの4大属性
    3限目 「看板」から学ぶ「見出し」の基本設計とは!?
    4限目 「キャッチコピー」の「ピラミッド」から脱出せよ
    5限目 「トラウマ」からひもとく、キャッチコピー改善セラピー
    6限目 「ボディコピー」を「ナイスバディ」に変える方法
    7限目 「情報」を「コンテンツ」に変える告知コピー制作メソッド
    8限目 「サッカー監督目線」で組み立てる LPの情報配置
    9限目 「ムシ歯」でかみ砕くUX(コピー制作シート付き)
    10限目 情報を掘り起こす「シャベル」のつくり方
    11限目 「キャスティング」でコントロールする「トンマナ」演出
    コラム1 言葉の揺れを止める「表記ルール」の設定方法
    コラム2 SNS投稿だって立派なWebコピーライティングだぜ

前へ 1 2 次へ

この連載の記事

一覧へ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています