バークレーに戻ってきました。
5月最終週は日本へ出張しており、東京、大阪、長野県上田の3ヵ所を5日間で回りました。気温も高く、湿度も高く、あじさいもキレイに咲き、「梅雨だな」という季節感を満喫することができました。
北カリフォルニアは、大体最高気温が20~25度、最低気温が13度前後、カラリと晴れて、たまに夜は霧がかかる、そんな天気の繰り返しです。たまに30度になる日もありますが、次の日にはキュッと気温が5~10度下がるんですよね。
以前もご紹介したかも知れませんが、果物狩りで街おこしをしているブレントウッドでは、イチゴの季節(4月)が終わり、5月はチェリー狩りの季節でした。ちなみに6月は桃狩りの季節ですが、おすすめは、たいてい同じ果樹園で育っているスモモのほうです。
持続性の高い「選択肢がある」こと
カリフォルニアは、環境先進地域といわれています。技術開発ももちろんですが、自然環境に配慮したライフスタイルの「選択肢」が揃っている点が重要だと思います。
当然コストはかかるので、すべての人に押しつけることはできないかもしれません。しかし、意識ある人々が選択でき、それが持続的に広まっていくことで、技術革新と相まって、環境負荷の低い生活を作り出せるようになるという、循環が存在している点が素晴らしいと感じています。
たとえばクルマの問題。エンジンでガソリンを燃焼させて走る車から、モーターとのハイブリッドへ、さらにモーターのみの電気自動車へ、という選択肢があるのが現在です。
以前はハイブリッド車に対して、そして現在は電気自動車に対して、高速道路で「カープールレーン」という優先車線を解放し、環境負荷が低い車を優遇するルールを採って、電気自動車を選ぶインセンティブを与えています。
たとえば、バークレーからサンフランシスコに出る場合、朝の渋滞時には一般の車線では40分かかるところを、カープールレーンでは20分ほどで走り抜けることができます。これはかなり大きなインセンティブになっているのではないか、と思います。
ディーゼルの燃料も「地産地消」
フォルクスワーゲンの不正問題で評判が悪くなっているディーゼルエンジン車についても、バークレーには面白い選択肢があります。BioFuel Oasisというお店では、バイオディーゼルを販売しているのです。
バイオディーゼルとは植物性の油から作り出されたディーゼル燃料のことです。BioFuel Oasisでは、バークレーから200マイル(320km)圏内の使用済みサラダ油を精製して提供しています。
一般的なガソリンスタンドでも、植物性の燃料を混ぜるようになりました。「B5」とは、通常の燃料に5%分のバイオディーゼルを混ぜているという意味です。これに倣うと、BioFuel Oasisの燃料は「B99.9」になると胸を張ります。
そして販売されている、自動車に貼り付ける「VEGI」のステッカー。人が菜食主義なら、乗る車もベジタリアンにできる。しゃれっ気たっぷりですが、貼り付ける人たちは真剣そのもの。信念を貫くことができる選択肢があることは、すがすがしさすらあります。
ちなみに、BioFuel Oasisのベジタリアン・ディーゼル燃料は1ガロン(約3.8リットル)は3.64ドル。通常のディーゼル燃料は3ドル程度なので、2割ほど高い計算になります。
風車の風景と、環境問題
さて、ブレントウッドからバークレーに帰る途中に、バスコ・ロードという丘を縫って走る道があります。わりとアップダウンがあり、くねくねと曲がりくねっているにもかかわらず、制限速度が55マイル(時速約88km)という、なかなか難しい道です。
筆者は、この道を通るのが好きです。その理由が、両サイドに風力発電のタービンがびっしりと並んでいる、とても優雅な風景が拡がっているからです。
このエリアは、カリフォルニアでも最も古い部類かつ、いまだ世界最大のタービン集積度を誇るアルタモントパス風力発電所です。そのタービン数は4930機、576メガワットの出力を誇り、年間1.1TWhを発電するそうです。
燃料を燃やさない風力発電は、環境問題の救世主のような存在に思えますが、別の問題を引き起こしているそうです。下の写真のタービンは大型の新しいものですが、櫓に設置された古いタービンが大多数です。小さなタービンは早く回転し、野鳥が巻き込まれて死んでしまう事態が起きているそうです。
絶滅危惧種に指定されているゴールデンイーグルは10年間で70羽も命を落としており、年間4700羽の野鳥が犠牲になっていると言います。動物保護の観点から問題になっていました。
そこで、風力発電所では、800機を超える低くてタービンの回転が速い旧型を、大きく回転速度が遅いタービンへ入れ替えていくことにしたそうです。
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