「最大の問題と言われていた」(孫社長)Sprint事業では、顧客ベースをプリペイドやタブレットユーザーではなく、利益の9割を稼ぐというポストペイドに集中したことで利益率が改善。孫社長自身が最高ネットワーク責任者として陣頭指揮を執ってネットワーク改善を継続したことで、米Nielsenの調査では全米で接続スピードが1位になったという。
ネットワークの改善によって解約率も低下。2016年1~3月にはポストペイドの純増数で米AT&T、Verizonの2社を初めて上回った。孫社長は「圧倒的に負けていた両社に、少しだけとはいえ上回ったのは一歩ずつ改善してきていることの証」と話す。ただし同期は純増幅が減少してT-Mobileの「ひとり勝ち」の状況で、孫社長は「敵ながらあっぱれ」とライバルを称賛し、今後の巻き返しを意気込む。
売上高は底を打って反転し、ユーザーから得られる収入も安定的になったことに加え、コスト削減も順調に進展。1年間で千数百億円の固定費が削減できたとしており、EBITDAが20億ドル規模で改善。営業利益は9期ぶりに黒字転換した。
手元流動性も確保し、「目先のお金のために高いものを買ったり、間違った営業判断をしたりすることがなくなった」と孫社長は強調。効率的な設備投資ができるなど、利益改善につながった。最終利益の黒字化についても「目標のタイミングは近い。最終利益がプラスになるのは近い将来だと信じている」とアピールする。
Sprint事業は売上高が同1.9%増の3兆8716億4700万円、利益が同8.0%減の6148億5000万円。ただし、円安の影響もあり米ドルベースでは売上高が同6.8%減の321億8000万ドル、利益が同21.3%減の5億600万ドルだった。