ソフトバンクグループは5月10日、2016年3月期決算を発表した。売上高は前年同期比7.6%増となる9兆1535億4900万円、営業利益は同8.8%増となる9994億8800万円で増収増益。懸案だった米Sprint事業は売上高が反転し、調整後EBITDAが大幅に改善するなど回復基調で、この2年間では4000億円の業績改善したと孫正義社長は胸を張る。国内通信事業も好調で、「ソフトバンクは世界的な企業にこれからなっていく」と宣言した。
純利益は同26.9%減の5582億4100万円だったが、これは中国アリババが上場したことによる一時益の影響で、それを除けば23%増だったという。調整後EBITDAは同19%増の2兆4388億6800万円。売上高は為替影響でSprintが増加したほか、国内通信事業をはじめとして好調で、営業利益も主要事業がそれぞれ増加した。
主力の国内通信事業は、売上高は同4.1%増の3兆1446億5000万円、利益は同7.5%増の6883億8900万円。携帯事業では、総合ARPUが前期比30円増の4700円となり、収入増に貢献。通信ARPUは40円減の4150円となったものの、サービスARPUが50円増の540円となり総合ARPU増に寄与した。
端末販売台数は102万4000台減となる1066万2000台だったが、NTT東西の光卸を利用した「SoftBank 光」の提供が功を奏して契約数は増加。孫社長はSoftBank 光について「やっと光ファイバーのサービスで収益が十分に成り立つ事業モデルが成り立った」と指摘。成長ドライバーとなって業績の向上につながったとの認識を示す。
サービスARPUが増加している点については、スポーツコンテンツとして「スポナビライブ」を紹介。プロ野球10球団の主催試合をスマートフォン向けに配信しており、差別化につながるサービスの提供で、さらなる収益拡大を目指す考えを示す。
独自調査のパケット接続率は98.7%で高水準を維持し「日本で最もデータ、パケットのつながるネットワークになった」と孫社長。ネットワークの改善、拡大期はピークを過ぎたとしており、設備投資額は減少。それにともなって、フリーキャッシュフローは4022億円まで拡大。今後も「コンスタントに4000億円規模が稼げる状況になった」としている。