謎の2D+2BA構成はなにゆえか?
イヤフォンには昔からコーン状の振動板が付いた、スピーカーを小さくしたような形のダイナミック型ドライバーが使われてきました。でも、これを普通にカナル型で使うと、もうちょっと高域がほしいかなという気もしてくる。
そこでバランスド・アーマチュア型というドライバーが重宝されるようになります。これは昔から補聴器に使われてきたもので、長方形の箱の中に短冊のような振動板が入っています。ダイナミック型に比べると小型で、高域の再生が得意。でも普通に使うといまいち低域が出ない。
ならばということで、その2種ドライバーを両方使って、短所を補い長所を伸ばそうというのが、ハイブリッド型。この構成で最初に成功したのが2011年に発売されたAKGの「K3003」という製品です。しかし、お値段は14万円。とても下々の者が手にできる値段ではありませんでした。私も買っていません。
そこで、その構成をそっくり真似して、2万円台前半という価格ながら、14万円台の製品に肉薄する性能を得たのが、DUNU TOP-SOUNDの「DN-10000」だったわけです。私はイヤフォンの下克上かと思いました。
以降、今日までハイブリッド型と言えばバランスドアーマチュア型のドライバーが1発でも2発でも、ダイナミック型ドライバー必ず1発です。なぜならダイナミック型はサイズが大きいから。
カナル型に使われるダイナミック型ドライバーの口径は、8mmから13mm程度。口径が大きいほど低域の再生には有利ですが、あまり大きいと人の耳に収まらなくなる。ソニーには16mmという大口径のダイナミック型ドライバーを採用した機種もありますが、こうなると耳からハウジングが大きく飛び出たようなデザインにせざるを得ない。
DN-2002の2つのダイナミック型ドライバーは常識的な10mm口径ですが、そのマウント方法に特徴があります。メーカーが公開している構成図によると、ステンレスの容器の中に、同じ方向を向いたユニットが、まるでボタン電池のように直列に配置されている。へええ。