低音の芯の通った力強さは圧巻
かなり本格的なアナログの音が得られる
試聴は、他のモデルと同様に内蔵フォノイライザーを使ったライン出力としている。ターンテーブル・シートはもちろん和紙だ。
音はちょっと驚くような鮮烈さで、ダイナミックで生き生きとした躍動感のある音。「マイルス・デイヴィス/カインド・オブ・ブルー」(再プレス盤の新品。ちなみに重量盤)を聴くと、中央の奥にいるウッドベースの低音がブリッと鳴り、ずっしりとした重みと存在感を出してくる。
その前に立つトランペットはもう目の前にいるかのような勢いのいい音を出す。左右に控えたピアノやドラム、サックスなどのメンバーも音像はシャープで、音場感もCDなどと比べても遜色のないレベルで再現される。
なかでも注目したいのは、ソロを吹くトランペットのバックでリズムを刻むドラムやベースの抑えた感じ。これがしっかりと出る。
そのため、音場の奥行きさえも感じるし、プレーヤー同士の息の合った感じや緊張感たっぷりの演奏の雰囲気がよく出る。アナログレコードでこれだけの音が出るのはなかなかのレベルだ。
「平井堅/ミラクルズ」では、声の厚みがぐっと増し、ボディーを感じるほど声に存在感が出てくる。低音のパワーはかなりのもので、パワフルなのに膨らみ過ぎない。エネルギー感の表現がデジタルとはかなり異なると感じる。このあたりがアナログレコード本来の魅力だろうと思う。
クラシックでは、「ドボルザーク/交響曲第9番 新世界より」を聴いたが、低音のパワフルさは同様。弦楽器の鳴りはかなりの重厚さを感じさせてくれる。それに対して中高域はやや穏やかで、細かい音も十分に再現されているが、多少楽器の粒立ちが甘いと感じることもあった。
どっしりとした低音が支えるピラミッド的なバランスで、聴き応えは十分だ。個人的にもっとも感激したのはジャズだが、クラシックにしろポップスにしろ、かなりレベルの高い再生ができる。
このあたりのクラスになると、懐かしい音という印象はまったくなくなる。鮮やかでエネルギーたっぷりの音だ。
デジタル音源でオーディオもそこそこのレベルで追求している人がアナログにも手を出すならば、このクラスの音を目指してほしいと思う。デジタルとは違う、レコードプレーヤーならではの充実した音を体験できるだろう。
次回はアナログレコードをデジタル録音!
さて、すでにクライマックスを迎えてしまったような満腹感があるが、最終回となる第3回ではアナログレコードのデジタル化に挑戦する。
ハイレゾでのデジタル化やそのための方法までくわしく解説。アナログのスゴみのある音をハイレゾは果たして再現できるのか!?
そして、実はテクニクスの高級レコードプレーヤー「SL-1200AGE」についても試聴していたのだが、今回入りきらなかったので次回コッテリと紹介させていただく。

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