カメラは画質以上にAF高速化の価値大、
キャリアアグリゲーション未対応で通信速度はiPhone 6sに劣る
「最新のスペック」という面でもっとも大きな違いは、カメラ部がiPhone 6s世代と同等になったことだ。iPhone 6s Plusでの撮影サンプルと比較しても、差はわからない。
ただ、筆者としては画質よりも「使い勝手」の向上を重視したい。
カメラの解像度の差は、それを思い出や作品として残す時には重要であるものの、4インチの小さな画面でSNSにシェアする時には、実用上大きな問題にならない。iPhone 5sからの乗り換えを考える人で、画素数アップをモチベーションにする人も少ないはずだ。
iPhoneのカメラは、2014年のiPhone 6世代以降でアップルが「Pixel Focus」と呼ぶ「像面位相差オートフォーカス」を導入している。それ以前の世代はコントラストオートフォーカスだ。コントラストオートフォーカスでは、コントラストが低いものにフォーカスを合わせようとすると、フォーカスが前後に「迷う」現象が発生し、フォーカスが合うまでに時間がかかる。像面位相差方式ではそれがなく、結果的にフォーカスが合うのが速くなり、使い勝手が良くなる。
iPhone 5s世代に比べ、iPhone SEは「iPhone 6s相当」のカメラになったので、オートフォーカスがとても快適だ。日常的に気軽に使うなら、この進化点は重要である。
すでに述べたように、iPhone SEはすべての面で「中身がiPhone 6s世代」ではない。特に大きな違いが「キャリアアグリゲーション」(CA)の有無だ。現在の携帯電話事業者は、CAの存在を前提に回線の高速化・混雑の緩和を進めている。特にiPhone 6s世代はCAでの速度アップがひとつのウリであり、差は大きい。ソフトバンク回線の端末を利用し、東京23区内の主要駅と横浜(計30回)の計測をした結果、最高速度では倍近い差が生まれている(グラフ参照)。そもそも通信速度にはばらつきが大きく、中心値では極端な差はない。だが、CAが整備された地域で過ごすならば、ダウンロード速度にはそれなりの差があり、快適さに反映されると思っていい。
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