PCからスマホへ、その役割が完全に移る前に
iPad ProがPCの代替の役割を果たすための大原則は、「何かが新たにできるようになること」ではなく、「何も変わらず引き継げること」です。少し地味ですよね。
しかしAppleがそういう目標を立ててしまったのですから、仕方ありません。そして、Appleが最も取り組んでこなかった、しかし取り組まなければならない話でもあります。
というのも、時間はあまり残されていないからです。Appleがアテにしている6億台の古いPCからのリプレイス需要が、消えてなくなる可能性すらあるからです。それは、スマートフォンの存在です。
スマートフォンの大画面化と高性能化で、Appleもそのトレンドを十分に後押しして業績を上げましたが、iPadの売上は減少傾向が止まりません。スマートフォンとタブレットを同一線上に置いていては、スマートフォンだけで済ませようという勢力に押しつぶされてしまうでしょう。
これは実際に、筆者の経験でもありますが、iPhone 6 Plusを使うようになり、電子書籍やニュースの購読、メールやメッセージ、メモなどは、「スマートフォンで済ませる」ようになりました。大画面化は止まりそうですが、人々のスマホ依存の速度は止まらないでしょう。
スマホ発展を停滞させることは、Appleは自分の首を絞めることになり、できません。果たして、Appleは間に合うのか、あるいは他にアテを作ることになるのか。注目していきましょう。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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