トレンドセッターであるAppleが
持続可能性を強調する意義
シリコンバレーで過ごしていて、あるいは米国の消費者として観察していると、テクノロジー業界におけるAppleの地位は、日本のそれとは異なる感じ方をします。日本からは、「デザイン」「革新性」といったイメージを持つかも知れませんが、カリフォルニアでは地元の名士のようなポジションです。
今回のFBIとの問題も、Appleが明確な対決姿勢を打ち出し、Google、Facebookを含むシリコンバレー/サンフランシスコの企業がこれに賛同しました。同時に、各社はより高いセキュリティーとデータの暗号化を追究し、主張だけでなく実際の行動で示しています。
スマートフォンにしても、タブレットにしても、スマートウォッチであっても、Appleが動いて始めてトレンド入りする、そんな様子を何度も目の当たりにした5年間でした。
こうした企業が、既に米国と中国で再生可能エネルギー利用率を100%にしており、パッケージは99%が再生紙や間伐材を用いたと発表している点は、意味が大きいのです。
地球環境に配慮し、顧客のデータとプライバシーを守り、人々の健康を向上させる。テクノロジーの役割が、物事の効率化や革新から、人類の持続可能性のためのものへと、より大きく舵を切る。そんな瞬間に立ち会っているのかもしれません。
その答えは、5年、あるいは10年、さらに次の40年で答えがわかることでしょう。その頃までAppleがカリフォルニアの名士で在り続けるのであれば、我々の地球と人類は、安全に時を送れたと結論づけることができるのではないでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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