イベントの冒頭にはジャーナリストの野中ともよ氏が登壇。明治神宮に生息する生物を撮影し、図鑑冊子にする今回のプロジェクトの概要について説明した。明治神宮の森は「永遠の森」をめざして大正4年から造成工事が始まった人口の森で、当時は日本全国からだけでなく樺太や台湾、満州(中国東北部)などからの約10万本の献木を植林することで誕生。日本新発見の昆虫が報告されているほか、数多くの絶滅危惧種、都会では珍しい生物がいることが報告されている。
野中氏は「明治神宮の森は2020年に100歳を迎える。我々は次の100年を考えないといけない」語り、明治神宮でお金を媒介しなくても楽しめるイベントを開催するため、任意団体を2009年に設立したとコメント。今回完成した冊子「明治神宮いのちの森 いきもの図鑑」は、過去2回明治神宮で開催されたワークショップで、子どもたちが“自分で見つけたいのち”として、auのスマートフォン「isai vivid」で撮影した生物の画像がまとめられている。
一般的なカメラではなくスマートフォンを使った理由は「一眼レフは大きくて重く、子どもが使うには操作も大変」、「isai vividはRAWデータが撮影できるので、カメラと遜色ない画像が撮影できる」(写真家の阿部雄介氏)。また、大画面でズームして詳細を確認できるほか「超高精細で撮影できるスマホがないと気付かない生物のディテールがある」とコメントした。
ココリコの田中直樹さんは猛禽類のオオタカが好きだと語り、「明治神宮には生態系の頂点にいる猛鳥類であるオオタカが生息しており、その生態系のピラミッドの土台となる、多様な生き物が生息する神宮の森はすばらしい」と絶賛。田中直樹さんは動物鑑賞が趣味で、自身が飼っている犬がどういう世界を見ているかに興味を惹かれ「ココリコ田中×長沼毅presents 図解 生き物が見ている世界」を上梓した。
ワークショップに参加した方が実際に撮影した生物の写真がまとめられた小冊子「明治神宮いのちの森 いきもの図鑑」は東京・渋谷のSHIBUYA PUBLISHING&BOOK SELLERSなどで入手できる。冊子に価格を設定していない理由として、野中ともよ氏は「無料小冊子だが、みなさんの志を頂いて広げて頂きたいと思う」と語り、この取り組みに関する賛同金を募集していく考え。2016年4月23、24日開催の「アースデイいのちの森2016」では、森の中を実際に歩くワークショップが開催される予定だ。