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3月下旬発売のデスクトップ/ノートをじっくり見せてもらう

「写真現像しない人多かった」マウス、クリエイターPC開発への想い

文●鈴木誠史/ASCII

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ノートPC「DAIV-N」は、ほかでは選びたくても選べないスペックを搭載

15.6型ノート「DAIV-N」

── ノートPC「DAIV-N」は、どのあたりがクリエイター向けなのでしょうか。

 まず、デスクトップで使うCore i7プロセッサーと同じものを搭載させています。クリエイターの作業はやはり処理能力が必要になりますので、処理時間をなるべく短縮できるようこのCPUを採用しました。

── デスクトップ用CPUをノートに搭載させるって、簡単にできることなんですか?

 実は、そんなに簡単なことではありません。デスクトップのCore i7、ノート用のCore i7、名称は同じであっても発熱量が違います。そうなると、それ相応の冷却機構が必要となります。DAIV-NはCPUの冷却にもこだわっていますので、発熱量が多い状態でもパフォーマンスを落とすことなく動作できるのです。

── CPUが最大の特徴というわけですね。

 CPUと並んで、ディスプレーもぜひチェックしてみてください。15.6型フルHDのIPS液晶採用・sRGB100%対応で、視野角が広く、色の再現性が高いという特徴があります。また、ストレージもM.2 SSDをRAID0構成で2枚搭載させることができます。最大毎秒3000MBの高速な読込/書込速度を実現させています。

 カードリーダーもUHS-II対応で、4K動画のデータなどの取り込みも高速です。このあたりがウリのノートPCがDAIV-Nです。

側面にマルチカードリーダー、USB 3.1 Type-C端子、USB 3.0端子×2、有線LANを搭載

キーピッチ19mm、キーストローク2mmのキーボード。LEDライトで青く光る

── フルHDのディスプレーは、カメラマン的にはやや物足りない気がしますね。

 本体のディスプレー解像度はフルHDですが、標準搭載のHDMI端子またはDisplayPort経由で外付けの4Kディスプレーに出力できます。

 快適に4K出力できるよう、Quadro M1000M搭載モデルとGeForce GTX 965M搭載モデルを用意しました。各ソフトでのGPU処理支援をメインに利用する人向けのQuadroと、ゲーム用途などマルチユースを想定したGeForceと分けています。また、Quadroは10bit出力に対応していますので、例えば色再現性の高いモニターとつないでカラーキャリブレーションを行なうこともできます。色にこだわりたい人にはオススメです。

背面にHDMI端子とDisplayPort×2を備えている

── 一般ユーザーにとって19万9800円(税別)は手を出しにくいかもしれません。

 手頃なPCを1台買ってみて「写真編集がうまくいかなかった」という事態になるよりも「最初から、快適な環境を確実に手に入れたほうがいい!」と提案しています。ノートPCは後からカスタマイズできる幅が狭いですからね。初期投資は高くなっても、よりスムーズに、思い通りに編集できることを考えれば安いと思ってもらえることを期待しています。カメラユーザーなら、レンズ1本分です!

 ノートPCに限った話ですと、この構成を選びたくてもなかなか選べません。よりコンパクトな環境で高性能を求める人に、ぜひこのモデルを選んでいただきたいなと思います。

デスクトップ「DAIV-D」。こだわりのデザイン、50万円超え構成も可能

デスクトップ「DAIV-D」

── デスクトップ「DAIV-D」もDAIV-Nと同じく3月下旬発売です。“これ1台で十分”な高性能ノートPCよりも優れている点があれば教えてください。

 DAIV-Nは確かに高性能なノートPCですが、CPUは4コアまで、メモリー容量は64GBまでなどスペックには限界があります。さらに高いスペックを求める人に応えるためにも、デスクトップは6コアCPUや128GBメモリー搭載モデルも用意しました。

 特にこだわったのはハードの外観と機能です。クリエイター向けPCにふさわしいデザインとなるよう、DAIV-Dでは新しい筐体を採用しました。ラバー加工のハンドルで運びやすくし、メッシュのフロントパネルで冷却性も高めています。また、吸気フィルターのメンテナンスも簡単にできるようにしています。

 デスクトップPCとしては珍しい特徴といえるのが、「UHS-II対応カードリーダーを内蔵している点」と「2輪のキャスターをつけられる点」です。オフィスやスタジオ内のちょっとした移動を快適に行なえるよう、BTOオプションとしてキャスターを用意しました。

フロントパネルは上下段ともにマグネットで着脱できる。上段パネルを外すと光学式ドライブ、リムーバブルベイ、カードリーダーにアクセス可能

外したパネルは上下段どちらかに2枚重ねて着けることも可能。ちなみに下段パネルの奥には吸気フィルターがあり、すべて取り外して水洗いできる

キャスターの転がり具合を体験。重量のあるデスクトップがスイスイ動く

ボールベアリングがスムーズな移動に役立っているとのこと

── スイスイ動きすぎて、乱暴に扱ってしまいそうです。

 移動の際に手をすべらせてしまうことなども想定し、社内で衝撃テストを行なっています。

── ところで、電源ボタンが見当たりませんが……

 こちらのダイヤル式スイッチで電源オン/オフを操作します。PCで作業する人へ、心に火を灯してもらいたいと思って採用しました。こういったデザインも含めて、感性に訴えかけるPCを目指しています。

カチっとひねって火を灯す(気分になれる)電源スイッチ

CP+2016での展示機は背面や内部の色が一般的なシルバーだった。製品版ではこのあたりも黒く塗装するそうだ

── 随所にこだわったデスクトップということで、ノートPC以上に高価そうですね。

 ディスプレーやキーボードなどが付属しませんが、(ノートPCより手頃な)16万9800円から用意しています。逆に、50万円を超えるような超ハイスペック構成も可能です。構成の幅広さもデスクトップの特徴です。

── 50万円のPCだとどのような使用を想定していますか?

 8K編集など「とにかく高負荷な作業を“複数同時に”こなしたい」などでしょうか。このような極端な使い方にも対応できるのがDAIV-Dの魅力です。ぜひクリエイターのみなさんに、非常に高性能なカメラとともにDAIVを使用してもらい、さらによい作品を仕上げてもらいたいのです。

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