日本アバイアは2月18日、同社が提供するSDNソリューション「Avaya Fabric Connect」が、慶應義塾大学 鶴岡タウンキャンパス(山形県鶴岡市)で採用されたことを発表した。来日したアバイア幹部のジャン・タージョン氏に、シンプルにSDNを実現する同製品の現況を聞いた。
今回、慶應義塾大学 鶴岡タウンキャンパス(TTCK)に導入されたのは、アバイアの「SDN Fxアーキテクチャ」に対応したAvaya Fabric Connectシリーズ製品(コアスイッチとエッジスイッチ、無線LANアクセスポイント、無線LAN管理システム)。
鶴岡タウンキャンパスは、先端バイオテクノロジーの研究施設および大学院を中心としたキャンパスである。
同キャンパスでは2015年夏にキャンパスネットワーク機器の更改時期を迎えたが、それまでのマルチベンダー構成によるネットワークは構成が複雑で、障害発生時の原因調査やメンテナンス作業などに無駄なコストがかかるという課題を抱えていた。加えて、同キャンパスにはインフラ担当の専任スタッフが常駐していないため、運用や障害対応の作業が簡潔にできるソリューションが必要とされていた。
次期製品を検討する中で、慶応大では複数のベンダーに提案を聞き、アバイアのAvaya Fabric Connectに着目。アバイアによるソリューションデモも確認したうえで、導入を決定した。新ネットワークの設計/構築は約3カ月という短期間で完了したという。
慶応大では、同ソリューションについて「今後、将来的に拠点が増えた場合や、他の拠点における大規模ネットワーク環境にも十分耐えうる性能や拡張性を持っていると確信」しているとコメントしている。
すでに500社以上が「本番環境で」導入しているアバイアのSDN
アバイア チーフテクノロジストのタージョン氏は、グローバル市場におけるFabric Connectの本番環境への導入件数が、2月上旬時点で500件以上にまで拡大していると紹介した。昨年5月の「Avaya Technology Forum 2015」時点では「300件超」だったので、この半年あまりでさらに勢いを増していると言える。
タージョン氏は、アバイアのSDN/ファブリックソリューションが、他社に先行して実用環境に導入されていると強調した。「500件というのは、すべて『本番環境』の導入件数だ。2番手の競合ベンダーは、本番導入件数としては3分の1くらいにとどまる」(同氏)。最近では、たとえばドバイにある世界一の超高層ビル「バージュカリファ」のネットワークでも、シンプルさ、信頼性、セキュリティなどを評価して採用されたという。
また、IoT時代のネットワークとして、エッジデバイスまでカバーできるSDNソリューションであるメリットを強調した。ここでは特に、接続されたデバイスへの仮想ネットワークのプロビジョニング(割り当て)を自動化する「オートメーテッド・エッジ」の技術がポイントだと、タージョン氏は語る。
「たとえば数十台、数百台監視IPカメラを設置する場合、1台ずつネットワーク設定をするとなると何日もかかる。アバイアでは主要監視カメラメーカーと協力しており、カメラの接続を自動化している」「Open vSwtichにソースコードをコントリビュートしており、v2.4では、デバイス接続の自動プロビジョニングを可能にする『Auto-Attach』が実装されている」(タージョン氏)
こうした技術に対応していないエッジスイッチやIoTデバイスも、Open vSwitchを実装したボックス「Open Networking Adopter(ONA)」に接続すれば、Fabric Connectに統合することができる。タージョン氏は、レガシーネットワークをすべて入れ替えるのではなく、相互運用性を保ちながら、次世代アーキテクチャへと段階的かつスムーズに進化させていくことができる点も、顧客から高く評価されていると述べた。
「自動化されたインフラが整えば、IoTの実施は容易になる」(タージョン氏)。アバイアでは、自動化されたSDN Fxアーキテクチャと、業界ごとのパートナーが展開するアプリケーション/デバイスを組み合わせた「スマートソリューション」を展開していく。これにより、導入件数をさらに伸ばしていく狙いだ。