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ソフトバンク2015Q3決算は増収増益、米Sprint事業反転にも自信

2016年02月11日 09時00分更新

文● 小山安博 編集●南田ゴウ

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 ソフトバンクグループは2月10日、2016年3月期第3四半期の決算を発表した。売上高は対前年比7.9%増となる6兆8102億600万円、営業利益は同18.0%増となる8753億2200万円で増収増益。

ソフトバンクグループの孫正義社長

 純利益は20%以上の大幅減となったが、これは前年に中国アリババが上場したことによる一時益があったためで、その影響を除くと38%増の成長となり、同社の孫正義社長は「すべての数字において想定していた以上のペースで推移している」と強調する。

主な指標

 EBITDAは同24%増の1兆9105億3700万円で、全体としては国内の通信事業に加えて、為替影響も手伝って米Sprintの売り上げや利益が増加したことが功を奏した。

売上高をはじめ、Sprint事業も反転傾向にある

 主力の国内通信事業は、売上高が同2.9%増の2兆3419億9000万円、営業利益が同7.6%増の5983億1800万円。「SoftBank光」の提供に伴い、固定ブロードバンドサービスの売り上げが伸び、携帯通信サービスの売り上げが微減したぶんをカバーした。

国内通信事業の売上高も順調に伸びた

 携帯事業の累計契約数は3168万6000となり136万契約の純増。ARPUは前年同期比10円増の4720円だった。通信ARPUが同60円減の4170円だったのに対し、サービスARPUが同70円増の560円となり、ARPU増につながった。

サービスARPUの増加が奏功して、ARPU全体を押し上げた

 孫社長は、国内通信事業が「着実に一歩ずつ利益を伸ばしている」とアピール。携帯網というインフラをベースに、本業の「インターネット企業としてのソフトバンクらしいサービス」(孫社長)を提供することで、さらなるARPUの増大を図りたい考え。

 課題としては1.41%と高止まりしている解約率を挙げ、その解決策として固定ブロードバンド・電力とのセット割引である「おうち割」を提供する。固定とのセット割利用者の解約率は単独の携帯契約者の「約半分」(同)とのことで、セット割によってユーザーを囲い込み、解約率の低減を図っていきたい考え。そのうちの固定ブロードバンドサービスである「SoftBank光」は累計契約数が122万契約に達し、順調に拡大した。

高止まりしている解約率を低下させるためにセット割を重視

「おうち割」による囲い込みに期待する

「SoftBank光」は順調に拡大

 携帯関連では、これまで積極的に行なってきた設備投資がひと段落し、「ピークは終わった」と孫社長。設備投資が抑制されることでフリーキャッシュフローが拡大しており、前年同期の36億円から2394億円まで急拡大した。孫社長は、国内携帯事業は「現金の収穫期に入った」と話す。

自社調査では高い接続率を維持し、設備投資はピークを過ぎたという認識

その結果、フリーキャッシュフローが急拡大している

 総務省のガイドラインに従い、今年2月からスマートフォンの「実質0円」販売が終了したが、ソフトバンクショップの客足は「1月末までが(駆け込み需要で)多かったのでがくんと減ったように見えるが、昨年と比べても激減はしていない」(ソフトバンク・宮内謙社長)という。高額のキャッシュバックといった販売手法がなくなってMNPが減ったためか「シェアが上がっちゃっているというのが実態」(同)という状況だという。

ソフトバンクの宮内謙社長

 ソフトバンクは、端末代の値引きの代わりに通信料から割り引く「実質価格」を最初に打ち出した側で、孫社長は「端末代金の支払いが、特に若い人には負担だろうということで、良かれと思って始めた施策」とコメント。「iPhoneが世界一安く手に入る日本で、それ(実質0円)はいいんじゃないかと思う」という認識を示しつつ、「総務省の方針には従う」として、今後は過剰な値引きなどにはならないようにコントロールしていく意向だ。

 キャリア側としては、もともと実質0円は「経営負担のほうが大きい」(孫社長)。その負担が減るため経営には好影響となる。総務省の要請に従ってデータ容量1GBプランの提供を開始し、学生などの若者に対してデータ量をプレゼントするプランも用意したが、通信量自体を下げることについても「いろんな形での還元を常に検討している」(同)とした。

 懸案の米Sprint事業は、ポストペイドユーザーの純増、750項目からなる固定費の削減が順調に進捗。前年度は9ヵ月で8億ドルを削減し、来年度末には20億ドル規模の削減を見込み、継続的なコスト削減によって経営を安定化させる。

Sprintの売上高は安定し、調整後EBITDAは上昇に転じている

営業利益も黒字に転じた

その理由のひとつが、解約率の低減とポストペイド契約の増加

携帯電話に限定してもポストペイド契約は純増となっている

解約率も低下

固定費の削減も順調に進展

来年度も継続して削減していく

社債の返済が始まるのを前に、多彩な調達先から手元資金を潤沢に用意

 「一番の売り物」(同)であるネットワークの改善も継続して行ない、ここ数ヵ月でLTEのダウンロード実効速度が米国で最速となり、米全土で接続性が向上するなど「Sprintのネットワークは、ついに、やっと、改善の結果が出はじめた」(同)。

ネットワークの改善も継続する

通話中に切断するドロップコールレートも過去最少まで改善した

 孫社長は「チーフネットワークオフィサー」としてネットワークの設計と運用の責任者としてSprintネットワークの改善に注力しており、米全土で「ダントツの1位になる。私の中で見えてきて手ごたえを感じ始めた」と強調。

 株価低迷を受けてか、孫社長は繰り返しSprint事業反転への自信を強調。「私の誇りにかけて、Sprintを反転させてみせる。その自信を深めた。これだけ言って反転しないとあとで大変なことになる。それぐらい自信をもっている」とアピールしている。

 そのほか、国内のヤフー事業はディスプレイ広告が堅調で、「Yahoo!ショッピング」の取扱高も順調に拡大。ガンホーやSuperCellといったゲーム事業も順調な点を紹介。筆頭株主として出資する海外の各事業も、アリババをはじめとして拡大を続けていることを示し、今後のさらなる発展に自信を見せていた。


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