ここでは1月21日から24日に開催された「The 2016 NAMM Show」のコタツレポートをお届けします。 1回目はこちら。
まさかパ○○? Appleがリリースした音楽アプリがスゴイ!
「The 2016 NAMM Show」完全開き直り型こたつ記事第二弾。前回はアメリカ西海岸の巨人がタイミングを見計らってやってきたとお伝えしましたが、今回は「MIDIのワイヤレス化が進み始めたぞ」というお話です。
今年はMIDI over Bluetooth Low Energy、いわゆるBluetooth MIDIに対応した製品が各社から出てきました。これはiPhone/iPadを中心とした制作環境の進化に沿ったものでもあります。
ただ、今のところiOS機器とMIDI機器の接続は、Apple純正「Lightning-USBカメラアダプター」などを介した有線接続が一般的です。
これでバッチリ使えるのですが、問題もなくはありません。まず手で持って操作するのが基本のタブレットで、線がついたまま使うのはわずらわしいということ。それにコネクターの部分が頼りなげで、現場でヘヴィーに使うのは気が引ける。
手で持たないにしても、問題は電力です。物理モデリングを行なうソフトウェアシンセやエフェクトは、それなりにCPUをブン回します。なのに給電能力のないMIDI機器でLightningコネクターを専有するわけですから、バッテリーは減る一方。セルフパワードのUSBハブを使う手もありますが、無駄な線を増やすのもいかがなものか。
だったらワイヤレスにすればいいじゃない、ということです。
Bluetoothという規格ゆえ、操作に対するレスポンスの遅れは大なり小なり起こり得るので、高速で正確な入力には向かない場合もあるでしょう。しかしステップ入力や、シンセのパラメーターを操作する程度ならば、多少のレイテンシーは許せるはず。さらに上記のような面倒を考えると、徐々にこちらへシフトしていきそうな予感もします。
ヤマハ、ローランド、コルグとそれぞれ異なるコンセプトで、Bluetooth MIDIに対応する製品を発表していますので、ざっと見ていきましょう。
既存機器を即ワイヤレス化する「MD-BT01/UD-BT01」
ヤマハはキーボードなどのMIDI機器側に取り付ける、2種類のBluetooth MIDIのアダプターを出してきました。MIDI(5PIN DIN)端子に接続する「MD-BT01」と、USB端子に接続する「UD-BT01」です。これが接続できるMIDI機器なら、ワイヤレスでiOS機器やMacと接続できるわけです。
どちらも2月1日発売予定で、6480円で各小売店は予約を取っています。AppleのLightning-USBカメラアダプターは3780円ですから、汎用性やコストを考えると、これがもっともお手軽かもしれません。
USB端子に接続するUD-BT01は、MIDI機器側が給電機能を持たないため、電源供給用のUSB端子も持ちます。MIDI機器とACアダプター両方に接続しなければなりませんが、机の上に置いたキーボードで使うなら問題ないでしょう。
MIDI端子に接続するMD-BT01は、MIDI INとOUTをジャンプするように接続します。ヤマハと同じ浜松にあって、元ヤマハのエンジニアによるスタートアップ企業キッコサウンド(Quicco Sound)の「mi.1」によく似た構造とコンセプトです。MD-BT01は電源不要なので、電池駆動の楽器なら、完全なワイヤレスで使えます。
たとえば、昨年発売されて好評のrefaceシリーズ用に、ギター用のストラップを付けてショルキー化するためのアタッチメント「KT-reface」が発表されています。refaceシリーズは電池駆動が可能ですから、MD-BT01を装着して外部音源を鳴らせば、ワイヤレスのショルダーキーボードとして使うこともできるわけです。