NTT東日本は1月20日、NTT中央研修センタにて「現場力向上フォーラム」を開催。設備保守などに利用しているドローンを公開し、衝突防止の新機能や大型試作機を披露した。
現場力向上フォーラムは、電気通信設備の保全に要するスキルの継承などを目的に、技能競技会や各種展示を行うもの。今年で9回目となり、NTT東日本および協力会社から約6700名が参加した。
ケーブルの修理作業をはじめ、計10種目の競技が行われる中、一際注目を集めていたのがドローンの飛行デモだ。
NTT東日本は東日本大震災以降、被災状況の確認や通信設備の復旧にドローンを活用している。実際に橋梁の管路点検や、峡谷での通信ケーブル敷設などに活躍している。
今回は、衝突防止機能を備えた新型機や、最大20kgのモノを運搬できる大型試作機などが報道陣に公開された。
超音波センサーやステレオカメラで自律制御
衝突防止機能は、超音波センサーにより実現。四方と下方に発せられた超音波で障害物を検知し、衝突する前に自動でブレーキをかける。その様子がデモとして実演された。また、ステレオカメラも搭載。水平認識させることで、GPSが届かない橋梁の下などでも、自律的なホバリングが可能になる。
2016年3月までに東日本エリアの17都道府県へ1台ずつ配備していく予定だ。
最大20kgを運搬可能な大型ドローン試作機も
併せて公開されたのが、全長1.2mの大型試作機だ。最大20kgまで積載・運搬することが可能で、ケーブルが巻かれたドラムを直接持ち上げられる。
峡谷や河川を越えてケーブルを敷設する場合、まず予備線を張る。そこにケーブルを結び、引っ張ることで敷設するのだが、この予備線をいかに渡すか。従来はロケットランチャーなどを利用していたが、昨年からはドローンがその役割を果たしている。ただ、予備線を引っ張る際、途中で樹木などに引っかかるなどの課題があったという。大型ドローンで飛行しながら直接ケーブルを這わせることができれば、作業効率は飛躍的に向上するのだという。
大型試作機はおよそ500mのケーブルが運搬できるという。NTT東日本の社内規定により、連続飛行時間は15分。中山間地域にケーブルを張る場合などに特に効果が期待される。
大型機に関しては現在導入効果を検証中。今後、橋梁・ビル点検や放射線量測定など、ドローンの活用範囲を広げていく中で、実用化を目指していく。