楽しい使い方編
移動の自由は時刻表が教えてくれる
杉山 「ニシマキさん、週末に出張して、翌日が土日という場合はどうしますか」
ニシマキ 「頑張ってなるはやで帰ってきて、土日は家でグダグダとノンビリしたいです」
杉山 「ですよね、やっぱり自腹で泊まって旅行したいわけですよ」
ニシマキ 「……そ、そうですか(うむむ。かみ合わない……)」
杉山 「そこで、時刻表の登場となるわけです」
出張に出かけて、そのまま帰ってくるなんてもったいない。滞在を延長して旅行しちゃおう。そんなときは時刻表の路線図を見て計画を立てる。路線検索アプリは目的地が決まらないと使えない。でも、時刻表なら路線図で目的地を探せる。列車の時刻を追っていくと、途中下車したくなる駅も浮かび上がる。
たとえば、大阪へ出張するとしよう。路線検索アプリで到着時刻を指定すれば、その時刻に間に合う「のぞみ」を探し出してくれる。しかし、時刻表で東海道新幹線を調べれば、もっと楽しい、有意義な列車を見つけられる。
杉山 「少し早めに出てこだまで行くなんて、どうかな」
ニシマキ 「いやぁ、早起きは苦手だし、時間がかかるし」
杉山 「でもね、朝のこだまはJR東海ツアーズが企画する、ぷらっとこだまというツアー商品があってね。東京〜大阪間だと、最大で3840円も安くなるよ」
ニシマキ 「え、3840円も!」
杉山 「グリーン車に乗っても、のぞみの普通車指定席より最大2340円も安い」
ニシマキ 「あ、憧れのグリーン車に……のぞみより安く!」
杉山 「グリーン車に乗るなら、むしろ長時間で楽しみたいでしょう」
のぞみで行く場合も大阪へ直行するより、いったん名古屋で降りて、ホームできしめんを食べて後続ののぞみに乗り継ぐ、というプランを検討できる。時刻表を眺めれば食事の時間を考慮して、どの列車に乗れば間に合うか、という比較検討もできるのだ。
ニシマキ 「なるほど、じゃあ、行きはこだまで、帰りはきしめんで……」
杉山 「甘ーい!」
ニシマキ 「ひぃぃ」
杉山 「同じルートで戻ってくるなんて、つまらないでしょう。さぁ、路線図を見て、大阪周辺を表示して……」
ニシマキ 「なるほど……京都に寄ってもいいし、神戸もいいですね。いやまてよ、和歌山へ南下して、そのまま紀伊半島をぐるっと回って名古屋から新幹線もいいかも」
杉山 「いいですね。その調子。それならもっと大胆に、金沢へ行きましょう」
ニシマキ 「えっ、北陸ですか」
杉山 「そうです。琵琶湖の西側に線路がありますね」
ニシマキ 「湖西線……ですね」
杉山 「タップして表示してみて」
ニシマキ 「あ、湖西線・北陸本線というページが出ました」
路線検索アプリの場合、先に乗車駅と降車駅を決める。でも、時刻表の場合は、行きたいルートを何となく決めてその路線の時刻表を開くと、都合のいい列車を見つけられるのだ。湖西線は特急サンダーバードが走っている。大阪と金沢を結ぶ列車だ。
時刻表マスターの「時刻表のススメ」
- 路線図で目的地を探し、列車の時刻を追えば途中下車駅など旅のプランができる
- 途中下車してもどの列車に乗れば間に合うか、という比較検討ができる
- 行きたいルートを何となく決めて、都合のいい列車を見つけられる
ニシマキ 「うわぁ、金沢に行けますね。金沢からは北陸新幹線で東京に帰れます」
杉山 「大阪で1泊したら、翌日は午前中に出発。金沢で観光して、その日のうちに東京に帰れれます。もちろん1泊してもいいと思います」
ニシマキ 「なるほど、金沢駅をタップすると、乗り継ぎ路線の候補に北陸新幹線が出ますね。こうしてどんどん乗り継げば……」
杉山 「鉄道を乗り継いで、日本全国に行けますね」
ニシマキ 「ゆ、夢が広がってきたぁ!」
ちなみに、東京〜大阪〜金沢〜東京というルートは、きっぷの買い方を工夫すると安くなる。事前に「東京〜山科〜金沢〜東京」という一筆書きのきっぷと、「山科〜大阪」の往復きっぷに分割して買うのだ。乗車券は長距離になるほど割安になるから、これだけ遠回りしても、東京〜大阪の往復より500円ほど高くなるだけだ。
切符の有効期間も距離が長いほど長くなるから、金沢で改札を出て1泊してもOK。こうしたきっぷのルールも時刻表に掲載されている。地域や季節によって割引きっぷが発売されるなどの情報もある。路線検索サイトは、往復割引など最小限の情報に限られる。時刻表を使いこなせば、月々の利用料金なんてすぐにモトが取れちゃうぞ。
そしてなによりもスゴいことは、iPhone版だから、こんな旅をいつでもどこでも計画できちゃう。思い立ったらポケットから出して旅のプランを作る。これでキミも旅の達人になれるはずだ。
(提供:交通新聞社)