Flashの今後は?
前述Googleのようなプラットフォームやインフラ提供事業者のほか、他ならぬAdobe自身がHTML5への移行を促す状況で、業界全体がFlash排除に向けて一致団結しているように見える中、広告配信や動画配信サービスでのHTML5完全移行に一部障害があるなど、必ずしもこのトレンドを歓迎している空気ではない。おそらくは、今後数年をかけて緩やかにFlashの利用比率を減らしてHTML5へと移行していくことになるだろう。
2016年1月に提供が行われるAnimate CCでは、新たに4K動画再生サポートなどの新機能が追加される一方で、引き続きSWF形式のFlashコンテンツやAIRコンテンツの書き出しが可能になっている。InfoWorldによれば、Flash Player自体が少なくとも今後5年はサポートされるということで、いきなり制作環境や実行環境がなくなることはなさそうだ。前述のように、HTML5では動画コンテンツまわりの配信技術にまだ課題があるため、技術的にも完全にFlashの領域をカバーできるわけではない。おそらくは、Macworldが言うように「Adobe isn't killing Flash, just changing the name of the tool that makes it(AdobeはFlashを殺すのではなく、それを制作するためのツールの名称を変更しただけ)」というのが正しいのだろう。
とはいえ、Flashの名称が製品ラインナップから消えたインパクトは大きい。Flash Professional CC改めAnimate CCは今後もクリエイターの制作ツールであることには変わりないが、「Flashコンテンツを作る」という意識は薄まっていくだろう。
先ほどのW3Techsのグラフに則れば、あと2~3年ほどでFlashコンテンツの比率が1%を切ることになる。クリエイターの意識次第の部分はあるが、最後は技術的に完全移行が難しい部分のみが残る形で、Flashは緩やかな死を迎えるのかもしれない。
