みなさん、こんにちは。ASCII(週刊アスキー+ASCII.jp)編集部の吉田ヒロでございます。さて、モバイルアプリ調査会社の世界的な大手であるApp Annieで、調査&マーコム部門のシニアバイスプレジデントを務めるダニエル・レヴィタス(Danielle Levitas)氏が、「Infinity Ventures Summit 2015 Fall Kyoto」に合わせて来日したので、日本や世界のモバイルアプリマーケットについて話を聞いてきました。ちなみに同氏は、米調査会社大手のIDG社でモビリティ・デジタルメディア・コンシューマーリサーチチームのグループバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めていた人物で、アナリスト歴20年のエキスパートです。
モバイルアプリ市場の規模は日本がナンバーワン
日本市場については「最大のアプリマーケットであり、2015年10月度の実績を見ると、ダウンロード数は前年同期に比べて15%減っているが、売上は15%増えている」とのこと。レヴィタス氏によると、「ゲームの場合、次のステージに進みたいと思うと日本のユーザーはすぐに課金する傾向があるが、欧米のユーザーはなんとか無料でプレイしようとする傾向が強い」とのことでした。日本市場はアプリ内課金での売上比率が世界で最も高く、ダウンロードされたゲームを課金しながら長く楽しむという傾向が見てとれますね。
ダウンロード数の減少は、日本だけでなく米国や英国などの成熟市場では珍しくないこと。一方で50ドル程度で購入できるAndroid端末が売られている新興国では、アプリのダウンロード数が急激に増加しているとのこと。具体的には、ダウンロード数は前年同期比で10%、売上は30%も伸びているそうです。
App Annieが注目しているのが、各国で普及しているメッセージングアプリ。日本では当然LINEがダントツですが、中国ではQQやWeChatなど大きなシェアを占めているそうです。これらのアプリに共通して言えるのは、単なるメッセージ交換のアプリではなく、プラットフォームとして成長している点。例えばLINEだと、LINE MUSICやLINE TAXI、LINE Payなど音楽やモバイル決済などがLINEアカウントで利用できるようになっています。レヴィタス氏よると、こうしたメッセージングアプリをベースとしたプラットフォーム化は、アジアに特徴的な動きだそうです。
前述したように、日本ではアプリ内課金による売上が強いわけですが、欧米ではサブスクリプション課金が浸透しているとのこと。具体的には、HBOやHulu、Netflixなどの映像コンテンツの視聴サービスの加入者が増えているとのこと。一方の日本では、このサブスクリプションサービスがあまり浸透しておらず、LINE MUSICなどの音楽聴き放題サービスも有料会員数は伸び悩んでいるそうです。