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「いいオーディオの基本」と言えるでき

8万円のソニーの本格Bluetoothスピーカー「CAS-1」が安いと言える理由

2015年12月05日 12時00分更新

文● 四本淑三、写真●篠原孝志(パシャ)

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卓上コンポーネントの現在形として今のところ理想

 スピーカーの出音は、レコーディング用のコンパクトモニターとして人気のある、ジェネレックの製品に近いと感じました。ただ、なにしろプロ向けの仕様なので、ちょっと一般的なユーザーは手を出しにくい。USBやワイヤレス接続機能もなく、ハイレゾ対応もうたっていません。出力やユニット構成も近い「8010APM」に、DSD DACとBluetoothレシーバーを組み合わせると、10万円は超えるでしょう。

 192kHzのハイレゾ対応で、USBオーディオインターフェース内蔵のパワードスピーカーといえば、価格的にも真っ向からぶつかるのがクリプトンの「KS-3HQM」でしょう。制振対策として、CAS-1同様以上の気合の入ったスピーカーベースも付属します。リスニング用スピーカーとして本気度の高い製品ですが、ワイヤレス接続はサポートしていません。

 ワイやレス接続も使えるハイレゾ対応機としては、富士通テンの「ECLIPSE TD-M1」があります。解像度を追求するレコーディング用モニターとして第一級の性能を持ちながら、再生帯域のバランスを求めるリスニング用スピーカーとしても満足できる点で、かなりいい線を行っています。ただしBluetooth接続ではなく、AirPlay対応。価格は約12万円と、少々お高い。

 これらに対するCAS-1の立ち位置というのは、まず安いことです。

 そしてスマートフォンの利用を前提とした、オールインワンコンポとしての扱いやすさ。特にDSEE HXのようなハイレゾ対応を活かせる技術については、ほかのメーカーは敵わない部分でしょう。現在の一般的なリスニング環境を踏まえた上で、社内の既存技術をうまくまとめ、製品として仕上げる企画は、ソニーのような大きな会社だから可能なことでもあります。

 結論としては、CAS-1は決して高くはない。むしろコストパフォーマンス的に優れていると思った次第です。卓上オーディオコンポの現在形として、今のところ理想のセットと言っても過言ではない。試用機材を返すのが惜しい!

 以上、広告宣伝費ももらっていないのにいろいろ断言しましたので、ウェブの広告表示はもう勘弁してください(誰に言っているのかさっぱりわかりませんが)。

 そしてみなさんは存分に音楽をお楽しみください。



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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