ハイエンドオーディオを広げにかかったのではないか
ソニーの本格Bluetoothスピーカー「CAS-1」は大当たり! 気合いに合った製品だ
2015年12月02日 10時00分更新
行動ターゲッティング広告の命中精度は、なかなかあなどれないもののようです。特に、金貸しや薄毛対策の広告を連打してくるFacebookなどを見ていると、何か重大な個人情報の漏えいがあったのかとしか思えません。
そんな折、現在私が日常的に見ているSNS、ショッピングサイト、ブログなどの広告欄には、ソニーのセパレート型Bluetoothスピーカー「CAS-1」が表示され続けています。どのウェブページを開いても広告といえばこれ。この製品について、Googleで検索したことも、Amazonや楽天のリンクを踏んだ記憶もなく、一体これはなんなのだろうかと。
唯一したことといえば、9月の製品発表時に、ソニーのリリースを読んだくらいです。
セパレート型のBluetoothスピーカーで、USB接続時には192kHz/32bitまでのハイレゾ再生に対応。本体にはポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-2」を流用したヘッドフォンアンプを搭載。オーディオソースとしてスマートフォンとパソコンが混在し、ヘッドフォンリスニングが主流である、ここ数年の事情に合わせた、デスクトップ型オーディオの企画とは承知しております。
製品名に「1」が付くことから、気合も入っているのでしょう。かつてのPC用アクティブスピーカーの名作「SRS-Z1PC」を想起せずはいられません。ソニーの小型スピーカーは、昔から安くてもあなどれない性能を発揮してきたわけです。
でもCAS-1は直販価格で8万6270円。ううむ、ちょっと高い。Bluetoothスピーカーだと言ってしまうと間違いなく高い。ハイレゾをアピールしたところで、一般のリスナーには敬遠されるだけ。ヘッドフォンアンプなんて、さらにマニアの世界だしな。
と、そんなふうにスルーした記憶があります。
まあ、どうせ音はいいんでしょう。音響装置の価格と性能は、ある程度までは比例関係にあります。しかしながら、コンペチターがない価格帯の製品には、その序列にあぐらをかいたようなところがあって、「ほかよりいいんですよ」と言われたら、「ああほかよりいいですね」と買ってくれる客を相手にしているような感じで、そこから広げる気は一切ない感じなのが気に入らない。
とはいえ、ウェブの世界における連日のCAS-1推しには根負けしました。何かの呪いなのであれば、それを解かねばならない。狙い撃ちにされているのだとすれば受けて立とうじゃないか。そこで編集部にお願いして、ソニーさんからCAS-1を借りてもらいました。
さて、すっかり前置きが長くなりましたが、どうせ音はいいに決まっているという、事前の想像を超えて大当たりと言っても過言ではないものだったので、その驚きをこうしてお伝えすることになった次第です。
これはソニーさんが、ハイエンドオーディオを広げにかかってきた製品なのではないか、と。
(次ページでは、「なんてことない外観と構成」)