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"BUILDING A COMPANY FOR A CENTURY" SLUSH 2015

ノキアは滅びぬ、何度でもよみがえるさ!

2015年11月16日 15時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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イノベーションがノキアのDNA

ノキアRisto Siilasmaa会長

 ノキアRisto Siilasmaa会長はSLUSHのセッションで「百年企業を作る」方法として「長期間のプロセスと努力」そして「コンスタントに変わること」が必要だと述べていた。実際、ノキアの歴史をひもとけば変化の連続だ。

 ノキアは製紙、ゴム、ケーブル、交換機、パソコン、そして携帯電話へと転換を続けてきた。しかし、その道のりはやさしいものではない。実際「ノキア社員の99%はここ3年半ですべて入れ換えられている」というのだから驚きだ。

 だが、ノキアはどんな厳しい状態にあっても、きわめて大きなピボットを起こしても生き残りつづけてきたと同会長。なぜそんなことができるのかというと、ノキアは根本に「イノベーションのDNA」を持っているからというのが自論だ。

 現在ノキアの稼ぎ頭はノキアソリューションズ&ネットワークス。世界120カ国の通信キャリアを顧客に抱え、携帯電話向けインフラの整備、また、ネットワークの構築・保守・運用を売りにしているインフラベンダーだ。

 しかし、同社はただのお堅いインフラ企業ではない。次世代移動通信「5G」開発を掲げ、道路や電車や住宅や自動車、すべてをインターネットにつなぐ「モノのインターネット」の世界を実現するというビジョンがある。

(そういえばノキアの5G計画について記事を書いたこともあった

 OZOも、5Gも、携帯電話を失ったあとのノキアによる事業だ。いずれも「素晴らしい体験を通じ、世界を変えるようなイノベーション」を起こすという、ほんまかいなと思えるほど純粋な哲学から発想されている。

 ノキアの置かれた環境を考えると、フィンランドはアメリカや日本に比べ、国土が小さく、人口も少なく、国内の需要があてにできない。目線が外を向き、ビジョンがリアルに「世界を変えること」になるのも、自然な発想と考えられる。

 日本でも時代とともにメーカーが「終わった」と揶揄されることはある。次の時代まで生き残れるのは、「ほんまかいな」の純粋なビジョンを持ち、本気で世界を変えられると信じる、スタートアップのような企業なのかもしれない。

 なぜって、イノベーションの力こそ人類の夢なのだから。


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