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太陽57個分の巨大な終末期の接触連星

タランチュラ星雲で過去最大級のくっつき具合な巨大連星が発見される

2015年10月30日 12時59分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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アーティストによるVFTS 352想像図

 ヨーロッパ南天文台(ESO)は10月21日、これまで確認された二重星のなかでも最大級のサイズの接触連星を発見したと発表した。

 二重星は地球から16万光年離れたタランチュラ星雲の中にある「VFTS 352」で、チリにあるVLT(Very Large Telescope:超大型望遠鏡)の観測で発見された。VFTS 352は超高温で青白い大質量星で、2つの星の距離は中心から中心までの1200万kmしか離れていないにもかかわらず、VFTS 352の質量は2つ合わせて太陽の約57倍もあると見られる。

タランチュラ星雲、中央がVFTS 352。MPG/ESO 2.2m光学望遠鏡撮影 (ESO/M.-R. Cioni/VISTA Magellanic Cloud survey.)

 2つの恒星はほぼおなじ大きさのため、ガスが一方的にどちらかへ流入することもなく互いの周囲を回っている。2つの恒星は表面が接触した状態の「接触連星(Contact binary)」、さらにそのなかでも外層を共有する「過剰接触連星(OverContact binary)」に分類されると思われ、ESOによるとVFTS 352は2つの星の構成物質の30%を共有していると推測している。

 青色巨星は水素-ヘリウムを高速に激しく消費するため高温で寿命は短いが、VFTS 352は将来的に2つの星の物質が混合度合いが高い場合は将来が2つの星が合体、大爆発を起こすと予想される。もっとも、混合度合いが低い場合には両方がそれぞれブラックホール化してブラックホール近接連星となる(最終的には軌道が縮まって爆発する)というシナリオも予想される。

 ESOでは、非常に珍しい過剰接触連星の発見であるとともに、星の終焉の理解を進める糸口になるとしている。

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