速さが増したデミオディーゼル
ガソリン車にはもう負けない?
9月5~6日に岡山国際サーキットで開催されたスーパー耐久第5戦「スーパー耐久レース in 岡山」。

市販車ベースのレーシングマシンで最速を争うスーパー耐久シリーズも後半戦に突入。早いところでは前戦のオートポリスでシリーズチャンピオンを決めたクラスもあり、また今回の岡山戦でシリーズチャンピオンが決まりそうなクラスもあるという、緊張感の高いレースとなった。
ラップタイムでは同クラスのトップグループよりも遅いといわれている、日本初のクリーンディーゼルによるレーシングマシン「DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-D」だが、前戦のオートポリスではチューニングプログラムを軽量化から一歩進めて、ようやくECU(エンジンコントロールユニット)に手をつけることが可能となったためか、クラス4位という成績を収めた。
ここ岡山では、そのチューニングもさらに進化したということで、予選から期待が膨らむ。デミオディーゼルを走らせるTeam NOPROのエースドライバー、谷川達也選手によるBドライバー予選に期待がかかる。
しかし、いざタイムアタックのためにペースが上がっていく最中、なんとトランスミッションが音をあげてしまい走行不能となるトラブルが発生した!
車両回収から即座に始められたミッション交換作業のおかげで、その日のうちに修理を終わることができ、またアタックタイムではないにせよ、それまでの走行で基準タイムをクリアしていたことにより、決勝レースに出走可能となった。
しかし、期待していたタイムアタックができなかったことで、6日の決勝レースはなんと5戦連続の最後尾スタートになってしまった……。
13時ちょうどにスタートが切られると、その周の後半に奇跡とも言えるようなでき事が、目の前で繰り広げられた。遅い遅いと言われ続けたデミオディーゼルが、スタート周ですでに2台の同クラス、ヴィッツ勢を追い抜き、常にトップ集団を形成しているホンダ FIT3勢を追い掛け回しているではないか!
そして2周目には2台のFIT3を抜き去り、3位にまで順位を上げていたのだ。普段は注目されにくい1500ccのST-5クラスだが、このときばかりはコーナーごとの観客が驚きの声を上げていた。となりの広島県から多数のマツダファンがデミオをはじめとしたマツダ車の応援に来ていたからこそ、この活躍はすぐに客席の反応につながった。
さらに4周目、前戦のオートポリスでシリーズチャンピオンを決めた69号車のFIT3をも抜き去り、順位は2位となっていたのだ。あとはスポット参戦のヴィッツ11号車を残すのみ。しかし、その後16周目に不幸が訪れた。
またもやミッショントラブル発生! これからヴィッツを抜くぞというタイミングで走行不能となってしまった。常勝者たちを抜き去っていくパワーを得たデミオディーゼルだけに、その上昇したパワーとトルクにトランスミッションが負けてしまったようだ。
トラブルについて、野上敏彦チーム監督は「風邪をひいたようなもの」とコメントしているので、最終戦の鈴鹿まで引っ張るようなトラブルではなさそうだ。これでトランスミッションの問題が解決すれば、最終戦は表彰台!? 期待が膨らむ一方である。
