顧客中心の“IoC”を、セールスフォース「Dreamforce 2015」レポート 第4回
「Salesforce IoT Cloud」が実現するものとは――「Dreamforce 2015」レポート
「IoC(顧客のインターネット)」でセールスフォースが考える世界
2015年09月24日 09時00分更新
セールスフォース・ドットコムが、「Dreamforce 2015」の最大の目玉として発表したのが「Salesforce IoT Cloud」だ。
これはIoTのデバイス、センサー、アプリから収集した1日数10億件レベルのイベントを、Salesforceの各種製品と連携させることで、新たなインサイトを導き出し、行動の最適化へとつなげることができるクラウドサービスである。
米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEOは、「当社はIoT(Internet of Things)を『IoC(Internet of Customers)』へと変化させていく。Salesforce IoT Cloudによって、企業は顧客とリアルタイムで1対1の関係を築くことができ、新しいカスタマーサクセスを実現することができる」と語った。
その中核になるのが、リアルタイムにイベントを処理する「Salesforce Thunder」と呼ばれるエンジンだ。ThunderはApp Cloudの一部であり、Salesforce IoT Cloudの心臓部となっている。
そしてSalesforce IoT Cloudは、マイクロソフトとの提携関係をさらに進める役割も果たしている。IoTの膨大なデータを扱ううえでは、Salesforceが持つリソースだけでなく、マイクロソフトのAzureも活用することになるからだ。
具体的には、IoTから発信される数10億のイベントをMicrosoft Azureを通じて、Salesforce IoT Cloudに送信。そこに、Thunderのインテリジェントルールエンジンを適用して処理。これをMarketing Cloudなどのセールスフォース・ドットコムの製品を活用して、効果的な営業活動やマーケティング活動を支援することができるようになるという仕組みだ。
ベニオフ氏は「この仕事を、マイクロソフトと一緒になってできることをうれしく思う」と述べている。
Salesforce IoT Cloudが可能にすること
では、Salesforce IoT Cloudによって、どんなことが可能になるのか。セールスフォース App Cloud担当SVPのテッド・ニールセン氏は、Salesforce IoT Cloudには「3つのステップ」があると説明した。
まず最初のステップは、1日数十億件という膨大なデータを、さまざまな形態のデバイスやセンサー、Webログ、アプリなどから収集すること。2つめのステップは、これらのデータにビジネスロジックを適用し、リアルタイムで処理を行う。ここでThunderエンジンが活用される。さらにあるイベント(事象)が起きた際にどんなアクションを行うかという「ルール」を決定する。たとえばService Cloudなどと連携して、メール送信するように指定することができる。そして最後のステップがエンゲージメントとなる。
つまり、ビジネスを行っている人自身がルールを決め、データを活用した新たなアクションを実行できる仕組みというわけだ。
(→次ページ、ゲームメーカーならIoT Cloudをどう活用できる?)
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