顧客中心の“IoC”を、セールスフォース「Dreamforce 2015」レポート 第3回
「Dreamforce 2015」で発表された「IoT Cloud」「Salesforce IQ」
セールスフォースの新製品群はどんなインパクトを持つのか
2015年09月22日 09時00分更新
米セールスフォース・ドットコムがサンフランシスコで開催した「Dreamforce 2015」では、「Salesforce IoT Cloud」や「Salesforce IQ」といった新製品が発表された。ここ数年「Customer Success Platform」を標榜し、製品群を強化してきた同社にとって、これらの新製品はどんなインパクトを持つのか。セールスフォースのプロダクト担当プレジデントであるアレックス・デイヨン氏に話を聞いた。
顧客の変革能力を提供する「Customer Success Platform」の進化
――セールスフォースは「Customer Success Platformを掲げてきましたが(関連記事)、今年のDreamforce 2015において、それはどの程度進化したのですか。
デイヨン氏:我々の役割は、企業が顧客とエンゲージできるように変革するための能力を提供することにあります。これが「Customer Success Platform」です。その実現のために2つの取り組みを行っています。
ひとつは、顧客とのタッチポイントを最高の環境で提供することです。営業部門だけに留まらず、マーケティング部門やサービス部門でも、どんな部門でもこの環境を利用できる。そしてもうひとつは、これらをひとつの製品として提供することができるという点です。クラウドのすべてが統合され、それを自由に組み合わせて利用することができるのが、セールスフォースが目指すCustomer Success Platformの環境です。
過去には「Chatter」があり、「Community Cloud」があり、「Analytics Cloud」といったものが組み合わせされ、さらに昨年からは「Lightning」という新たな環境も追加されました。そして、今年は「IoT Cloud」が新たに追加されています。
IoT Cloudもまったく別の製品として提供されるものではなく、Service Cloudなどと接続され、Customer Success Platformというひとつのプラットフォームの上で提供されることになります。このように、Customer Success Platformは確実に進化をしていますが、ビジョンは同じです。お客様の変革を支援するために、我々は新たな技術と製品を追加していくことになります。
「IoT Cloudは、IoTだけで完結するというものではない」
――Salesforce IoT Cloudはどんな位置づけを担う製品になりますか。
デイヨン氏:Salesforce IoT Cloudは、さまざまなデバイスから発信された情報をSales CloudやService Cloud、Marketing Cloudと連携させることでビジネスを変革させていくものになります。つまり、IoTだけで完結するというものではありません。Salesforce IoT Cloudでは、何10億というデバイスからの情報を受け取り、そのデータを格納するとともに、CRMなどのアプリと連携することができ、さらにこれを「ビジネスプロセスへとつなげることができる」というのが特徴です。
IoTを通じて集まった膨大な情報をどうしたらいいのかといったことがわからない企業が多いのも実態です。どうビジネスにつなげていけばいいのかといったことにも悩んでいます。それをプログラミングなしに、自動的にやってくれるのがSalesforce IoT Cloudとなります。
これを実現するためにはさまざまな技術が採用されています。ただ、そうした技術については、Dreamforceでは一切話をしません。ここに集まっている人たちは、技術を知りたいのではなく、いかにビジネスを変革できるのか、課題を解決できるのかということに興味があるわけです。そして、我々のメッセージは「シンプルで簡単に利用できる」ということに尽きます。
――セールスフォースでは、IoT(Internet of Things)を「IoC(Internet of Customer)」と言い換えていますね。今回発表したSalesforce IoT Cloudも、本来ならば“IoC Cloud”という名称の方がよかったのではないですか?
デイヨン氏:世間ではIoTという呼称が一般的ですからね。また、機器とつながるということでは“Machine Cloud”という呼び方もできるかもしれません。
IoT Cloudでは、何10億というセンサーからの情報や、自動車から発信する情報、サーモスタットの情報などとともに、マイクロソフトのOffice 365と連動して、そこから様々なデータを活用する仕組みとなります。それらをビジネスと直結させて、ビジネスプロセスの一部として、アクションにつなげることができます。ここが、単なるIoTとは異なる点です。
最終的にIoT Cloudという名称にしたのは、ユーザーの声を聞いた結果、しっかりと製品の意図を理解していただくという狙いからです。
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