「大企業向け製品技術を中小企業でも導入しやすく」まずはネットワーク製品から展開
シスコが国内中小企業向け製品ブランド「Cisco Start」発表
2015年09月17日 06時00分更新
シスコシステムズは9月16日、従業員25~100名規模の中小企業市場向け製品ブランド「Cisco Start」を発表した。日本仕様の製品開発やサポート窓口の強化、ECサイトも含めた全国販売チャネルの展開と支援など、日本市場独自のマーケティング施策となる。第一弾として、ルーターや無線LAN機器などのネットワーク製品がラインアップされている。
「シンプル/スマート/セキュア」がテーマ、日本仕様の新製品も
発表会に出席したシスコ 専務執行役員 コーポレート事業統括の中島シハブ氏は、「人材不足」や「デジタル時代のIT活用」「セキュリティ」といった課題を抱える国内の中小企業に対し、シスコが30年の実績を生かした「シンプル、スマート、セキュアな製品群を提供していく」のがCisco Startだと説明した。
また、米シスコ エンタープライズ インフラストラクチャ&ソリューションズVPのジェフ・リード氏は、Cisco Startのポートフォリオについて「中小企業向けであっても妥協のない機能を、妥当な価格で提供するものだ」と語る。
これらの製品のうち、小型ルーターの「Cisco 841M Jシリーズ」は日本の中小企業向けに開発された新製品だ。IPv4実効速度2.0Gbpsの同シリーズは、WAN側2ポート、LAN側4ポート/8ポート(すべてギガビットEthernetポート)を備えており、日本語のセットアップウィザードで簡単に設定ができる。2年間の保守サポート付き。
WAN回線としてフレッツ光ネクスト/PPPoEに対応するほか、3G/4GのUSBドングルも接続できるため、バックアップ回線としてWWANを利用可能。また、IOSを搭載しており「Advanced Security」や「Advanced IP Services」に対応。IPsec VPNやURLフィルタリング、シスコのクラウドベースセキュリティ(CWS)といったセキュリティ機能を利用できる。
「“Cisco Startルーター”は、日本市場向けにR&Dチームを設立し、日本市場向けに機能をパッケージし直して完成した製品だ」(リード氏)
そのほか、Cisco Startシリーズの第一弾製品群としてスイッチ「Cisco Small Business 110/300シリーズ」、ワイヤレス「Cisco Aironet 1700/1800シリーズ」、セキュリティ「Cisco ASA5506-X」が発表されている。中島氏は、今後もさらにシリーズのラインアップは拡充していく方針だと語った。
「品質は良いが価格が高いシスコ」のイメージを刷新したい
中小企業市場への展開にあたり、シスコでは販売支援体制の強化も推進する。通常の販売チャネルに加えて、パートナーやディストリビューターとの連携を強化し、全国の中小企業への販売/サポート体制を強化する。また、Cisco Startのブランドサイト、およびサポートコミュニティサイトを立ち上げ、ECサイト「NTT-X Store」での販売も開始している。
シスコ 執行役員 マーケティング本部 本部長の鎌田道子氏は、中小企業の顧客が必要とする製品およびサポート情報は、すべてオンラインで提供すると説明した。ブランドサイトでは、最新のセキュリティレポートやワークスタイル変革、業務効率改善についての記事、導入事例紹介など、中小企業が求める幅広い情報を提供していく。また、コミュニティサイトでは、ユーザー間の情報交換だけでなく、シスコ側からも製品関連の技術情報を公開していくとした。
「中小企業のシスコに対するイメージは、製品は良いが価格が高い、サポート力で国産ベンダーに負ける、というもの。新しいイメージを持っていただけるよう努力していく」(鎌田氏)
また25名、50名、100名規模の企業向けに、あらかじめCisco Start製品を組み合わせた「推奨パッケージ」も提供する。「それほど考えずに導入いただくこともできる」(鎌田氏)。
また、Cisco Start製品のディストリビューターを務めるダイワボウ情報システム(DIS)の松本氏は、「DISが推進する企業へのモバイルデバイス普及に向けて、安定したセキュアなネットワークが必要」だと語り、Cisco Startシリーズがこうしたニーズを低コストで実現することへの期待を述べた。DISでは、全国1万9000社の販売パートナーを通じてCisco Start製品を販売していく。