中国では、Googleが生きられず、FacebookやTwitterが生きられず、中国産代替えサービスが伸びている。
が、無数の四角い箱で作られる世界「マインクラフト」(Minecraft、略称マイクラ。中国語は「我的世界」)については、その中国産代替品は出ることなく、政府が削除することもなく、多くのユーザーに遊ばれている。
その注目度だが、例えば掲示板サイト「百度貼〓」(〓は口へんに巴)のマインクラフトフォーラムはフォロワーが91万、書き込み数は2400万となっている。これは、中国で売り出されているPS4や、公式には未発売だったのに普及したPSPの数字よりも多い。
また、MineCraft Wiki中国簡体字版サイトは、日本語版サイトよりも記事数が多くなっている。知る人ぞ知る人気となっているのだ。
マインクラフトにハマっている筆者から、このゲームを遊んだことない読者にすごくざっくり説明すると、CGらしくカクカクとしたものすごく広大な世界で、夜になると襲ってくるゾンビやスケルトンに気を付けながら、道具を作り、昼間は木を伐採し地面を掘り、家を建て、家を飾り、農作物を作り牧畜をし、村人と交流し、日々生き残るゲームである。
花いっぱいのファンシーな環境にも、電子工作を極めた環境にもできる。ゲームだけでなく、日々生き残るためのゲーム実況動画や、マイクラ職人(クラフターともいう)がありとあらゆるブロックや道具を使って、匠の領域まで装飾した建築物や町の“作品”を紹介する動画が比較的人気である。
中国のマイクラ職人の作品がスゴイ!
日本のメディアで紹介される作品は、日本人のマイクラ職人が作った作品だけでなく、世界(主に欧米)の職人が作った作品もまた紹介される。
実は中国にもマイクラ職人の作品がある。その代表が「EpicWork史詩工坊」という団体が作っている「武陵塵夢・新・桃花源」(The Peach Blossom Spring、略称「桃花源」)「千年帝都・洛陽」「古鎮・麗江」( LiJiang, The Ancient Mystic City )という作品でだ。
麗江は、中国では数少ない旧市街が世界遺産となった、雲南省麗江をコンパクト化してリアルに再現(筆者自身雲南省を拠点としている関係でしばしば行くが見事に再現されて驚いた)。
桃花源と洛陽は想像上の作品ではあるが、前者は桃源郷のような世界を、洛陽は厳粛な中世中国の首都を再現した。中国の伝統美をマインクラフト上で再現しようという意気込みをひしひしと感じ、中国人だからこそできた「もっと評価されていい」作品である。
(次ページに続く、「中国風の世界を作りたいなら、中国のデータや動画が参考になる!」)
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